社会そのほか速
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「日経ビジネス」(日経BP/2月2日号)は『物流の復讐』という特集を組んでいる。その内容は次のようなものだ。
「『荷物は時間通り届くもの』『送料無料は当然』――。あなたはそう思い込んでいないだろうか。電気や水と同じように、あって当たり前とされてきた『運ぶ』という社会インフラ。ネット通販の急拡大による負担増と人手不足が重なり、破綻へと近づいている。これまでのモノの流れを抜本的に変えなければコストは跳ね上がり、米アマゾン・ドット・コムなど高度な物流機能を持つ企業が顧客を独占する。小売りも物流会社もメーカーも、物流を軸に経営戦略を作り直す時がきた。長らく販売や製造を支える黒子にすぎなかった物流が、産業の主導権を握る。その『復讐』の衝撃波は、日常生活から企業の現場、国家戦略にも及んでいる」
今回のキーワードは圧倒的な人出不足による「2015年問題」と、急増する「不在票」問題だ。
「2015年問題」とは、2008年に国土交通省が発表した試算で、15年には14万人のドライバー不足に陥るとの懸念を示し、実際に現在この問題が現実化・深刻化しているのだ。東日本大震災の復興と20年の東京五輪に向けての人材需要のうえに高齢化もあって、人材争奪戦がし烈になっているのだ。年末のピーク時には「明日のトラックがない!」などという事態も起きかねない。このため、企業は物流を見直さざるを得なくなり、それが販売や製造にも影響を与え始めている。
●各社の再配達を減らすシステム
次に、「不在票」問題は、インターネット通信販売の拡大が再配達の増加というかたちで物流インフラの負担を増大させている。
「ヤマト運輸によると、宅配便の再配達比率はおよそ15~20%に達するという。宅配ボックストップシェアのフルタイムシステムでも、管理する宅配ボックスの荷物の年間平均入庫数は、この10年弱で1.5倍に増えたという。それだけ不在時に届く荷物が増えているということだ」(同特集より)
現在、ヤマト運輸が進めている「第8次NEKOシステム」で目指すのは、不在票のない世界だ。ドライバーの経験のデジタル化を図るのだ。
「どの家にいつ行けば確実に荷物が届けられるのか。もうドライバー個人の“脳内ビッグデータ”に頼る必要はない。その日の配送先の偏りや過去の配送実績を基に、最短ルートを導き出して端末に表示する。(略)過去の配送実績を生かし、利用者の生活サイクルに合わせて届けられるようになる」(同特集より) 現在、発送だけを手掛ける全国20万の宅配便取扱店でも、受け取りを可能にする方向だという。
一方、不在票自体と決別したのは佐川急便だ。佐川にはヤマトや日本郵便のような細かな配送網はない。その代わりに、企業間(BtoB)物流に強みがあったことから、通販会社の物流に焦点を当てたのだ。
「通販会社は購入客に届けるための配送サービスばかり強化し、安さや速さを宅配業者に求めてきた。一方で(略)物流センターに納品される物の流れにはあまり手を打ってこなかった。(略)実際は、メーカーや卸から納品される商品の搬入や仕分けが早ければ、倉庫内の効率化につながり物流コストを下げられる。佐川はここに目をつけた」(同特集より)
“納品物流”という通販ビジネスの黒子に回ったのだ。
●日本郵便、アマゾンの動きで物流サービスに変化?
ヤマトと佐川を追う日本郵便は、不在票のリスクを限りなくゼロにした「ゆうパケット」を昨年6月にサービス開始した。厚さ3cm以下の荷物なら受け取りの認め印不要で、ポストに投函するが、これまでの「ゆうメール」とは異なり追跡サービスもある。この「ゆうパケット」の利便性に注目したアマゾンとともに、「ゆうパケット」が入る受け口の広いポストも開発したほどだ。
この動きに対し、ヤマトがメール便に代わって4月から打ち出す新サービスは、厚さ2.5cm以内の荷物をポストに投函する宅配だ。新サービスの競争が注目される。
また、サービス競争に影響を与え続けるアマゾンの動向も気になる。将来的にスーパーが牙城としてきた生鮮食品の販売にも乗り出す。
「すでに米国では、生鮮食品を扱う『アマゾンフレッシュ』を西海岸の大都市から順次拡大している。さらに昨年12月にはニューヨークで、7.99ドル(約950円)を支払えば注文から1時間以内に商品を届ける『プライムナウ』という会員サービスも開始した」(同特集より)
「速さ」が決め手になる生鮮食品などを宅配する準備を着々と進めているのだ。
●悲鳴を上げるトラックドライバー
「SAPIO」(小学館/1月号~3月号)は、こうした苛烈な企業間競争に労働者側から迫っている。それが同誌渾身のルポ、『短期集中連載 仁義なき宅配』だ。ジャーナリスト横田増生氏が価格競争の続く「宅配ビッグバン」の現実に迫ったもので、第1回(1月号)の『宅配ドライバーの1日は宅配ボックスの争奪戦で始まる』では、ヤマトの下請け業者の助手席から現場をルポ。「ヤマト運輸にとって『最大手の荷主』となったアマゾンの荷物は全体の3~4割程度」(同記事より)といい、再配達を減らすために、朝8時半までにマンションの宅配ボックスをどれだけ確保できるかを佐川、日本郵便と競い合う状況だという。 第2回(2月号)の『シェア業界2位の佐川急便はなぜ配達遅延“パンク”を起こしたか』では、佐川の下請け業者の幹線輸送車(夜中に長距離を走る大型車)に同乗してルポ。
「翌日配達を基本とする宅配便にとって、夜間の幹線輸送は切っても切り離せないほど重要である。しかし、黒子的な存在であるためと、その9割以上を下請け業者が請け負っているという理由から、これまでその実態が活字になることはほとんどなかった」(同記事より)
間違った方面の荷物を一個でも積み込むとドライバーの責任で、正しい拠点まで再度ハンドルを握って運ばなければならないという。「急ぎの荷物だったので、自分で届けることもできず、赤帽を頼んで届けてもらいました。10万円近い代金は自腹で払いました」と語るドライバーの声もある。こうした過酷な現実に下請け業者は悲鳴を上げ、配達遅延パンクを起こしたのだ。
第3回(最終回・3月号)の『ヤマトドライバー「サービス残業」の憂うつ』では、多い時は月に90時間から100時間ぐらいサービス残業をする現実に、抑うつ状態になったドライバーを紹介している。
「即日配送」や「時間指定」といったサービスの高度化の一方で、労働者の負担軽減は後回しという現状は見直しを迫られそうだ。利用者の側も「『午前指定』のはずなのに『午前にこない』」などという怒りのツイートを見かけることがあるが、こうした現実を知れば、過剰なサービスが労働環境のブラック化に直結していることに気が付き、その日に届くだけでもありがたい、となるはずだ。
(文=松井克明/CFP)
大塚家具(本社・東京、ジャスダック上場)創業者で会長の大塚勝久氏が2月25日、その娘で社長の久美子氏が26日に記者会見を行った。勝久氏の会見には13名もの現役幹部が背後を固めて立ち、久美子氏の社長在任4年間の売り上げ不振を指摘すると、久美子氏は翌日利益面の数字を上げて反論した。ただし久美子氏が上げた利益は、年商約550億円の売上高に対し約15億円(11、12年)あるいは8億円強(13年)と大した額ではない。
大塚家具の問題は、実はボトム(利益)よりもトップ(売り上げ)の長期低落にある。勝久氏が社長として同社を年商約700億円にまで急成長させ、一時は国内最大の家具販売会社となった。しかし05年から08年まで年商は約700億円で停滞し、成長が止まってしまった。そこで外部にいた久美子氏を09年に社長に起用したわけである。ところが久美子氏の社長就任以降、10年からは約550億円前後で売り上げは推移。「14年7月の久美子社長解任は業を煮やしての決断だった」と、25日の会見で勝久氏が解説した。
2日にわたる父娘の会見を受けて、筆者は急遽2月27日のテレビ番組『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)でコメントを求められた。20分間ほどのコーナーは『大塚家具骨肉の争い激化』とタイトルが付けられていた。橋本大二郎MCから尋ねられ、次のように見解を述べた。
「大塚家具は上場していて公開企業だが、実態は同族企業なのが問題。父が会長、娘が社長として経営に当たっているし、両者とも大株主という状況」
「勝久氏が創業者で会社への思い入れが強い。社内でもカリスマ的な影響力を保持している」
「業績の回復と、家族間の平穏の回復が課題となる。3月の株主総会で帰趨が決まるが、破れたほうは退陣せざるを得ないだろう」
●客のいない広大なフロア
テレビ出演に先立ち、急遽大塚家具の旗艦店である新宿ショールームを視察した。まず入り口であるが、久美子氏は「勝久氏が確立した(入り口で名前を登録する)会員制を廃止して、入りやすい店づくりを目指す」としていたのは、実現できていないと感じた。三越の南館を改装したビルの正面玄関は高いガラスドアの入り口となっていて、まるで銀座の高級ブランド店の店構えである。ドアマンも立っており、傘を傘立てに入れようとしたら、ドアマンが出て来て傘立てに入れ鍵を外して渡してくれた。
入り口を入ると、入館登録こそ求められなかったが、以前のように受付カウンターがあり、案内する営業が1人割り当てられた。とても「気楽に入れる」という状態にはなっていない。筆者がベッドの買い換えの意向を告げると、7階に案内された。そのフロアは見渡す限りのベッドで埋め尽くされており、その数を尋ねると「このフロアで150台ほどです。8階にあと60台ほど展示してあります」という。計210台が余裕を持って展示してある。町の家具屋さんなら5~6台くらいがいいところだろう。眼に付くベッドには「150万円」「230万円」などと価格が表示されていた。それを見た後では30~40万円の商品が安く感じられるのが不思議だ。問題はしかし、その広大なフロアに筆者以外には客が一組もいなかったことだ。
●新しい経営者が必要
2月19日付本連載記事『大塚家具、父娘げんかの原因は「2人とも経営が駄目だから」?娘社長のブレる経営迷走』でも指摘したが、久美子氏が主張する、あるいは目指している「改革」は中途半端で機能していない。それが父娘の経営権を争う原因の一つだ。かといって、勝久氏が「10年前に帰れ」と主張している流儀も05年には壁にぶつかってしまっている。IKEAやニトリなどの有力な競合がいなかった時代のビジネスモデルに戻しても、もはや機能しない。
大塚家具は新しい経営戦略を持たなければならない。そしてそれを実現するには、大塚父娘でない新しい経営者でなければならないと筆者は考えるが、資本の論理により経営権は3月27日の株主総会で決せられる。どちらがプロキシ・ファイト(委任状争奪戦)で凱歌をあげるのか。『ワイド!スクランブル』で共演したテレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏が「生中継しよう!」と提案していた。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)
福岡市動物園はこのほど、コツメカワウソの赤ちゃんの名前を決定した。
コツメカワウソの赤ちゃんの名前が決定 ※画像提供:福岡市動物園
名前が、「風・空・桜・海」に決定
今回名前が決まったのは、昨年10月に誕生した赤ちゃん4匹。フワフワの毛並みを持ち、くりっと丸い目を持っているので耳なしの子猫のようにも見える。
コツメカワウソの赤ちゃん(オス3頭・メス1頭)の名前は、1月31日から2月8日まで募集し、593件の応募があった。その中から審査を経て、最終候補4つを選定。一般からの決戦投票の結果、「風(ふう)・空(くう)・桜(おう)・海(かい)」が決定した。
「風・空・桜・海」の4兄弟は順調に成長中 ※画像提供:福岡市動物園
名付け親は、福岡市の丸山春菜さん。「風(ふう)・空(くう)・海(かい)」がオス、「桜(おう)」がメスで、頭文字が「ふ・く・お・か」となる。
かわいいカワウソの4つ子は、毎週木~日曜日の10~13時に屋外展示室にて公開中で、時間以外でも寝室で姿を見ることが可能。なお、動物の体調などにより公開をとりやめることもある。同園の所在地は、福岡県福岡市中央区南公園1-1。
すみだ水族館(東京都墨田区)は、同館で飼育しているチンアナゴおよびニシキアナゴの二種(以下、これらをまとめてチンアナゴ類と記載)の産卵行動を確認し、動画での記録に世界で初めて成功した。
ニシキアナゴ放卵の様子
チンアナゴ類は、温暖で潮通しの良い砂地に生息するウナギ目アナゴ科の仲間。巣穴を掘って生活し、時には大きな群れを作る。砂から体を伸ばし、流れてきた動物プランクトンを捕食する姿がユニークで人気となっている。
同館で最初にチンアナゴ類の卵が発見されたのは、2014年4月14日の午前2時頃。飼育スタッフが見回りを行った際、水槽の表面に卵が浮いているのを発見した。発見から約半年間は、夜間に水槽の観察および撮影を実施。通常、夜間は巣穴に潜って寝ているチンアナゴやニシキアナゴが巣穴から体を伸ばし、産卵行動を行う姿を合計17回確認した。
特にニシキアナゴは特徴的な産卵行動であったという。雌は、巣穴からカクカクとした動きで体を伸ばして放卵し、雌の放卵後に雄が巣穴から体を伸ばし放精するという特有の行動が見られた。また、雌1匹と複数の雄が直線状に並び、放卵・放精を行う姿も観察できた。一方、チンアナゴはこれらのような雌雄での行動は確認できなかったという。
チンアナゴの受精卵
チンアナゴの稚魚
ニシキアナゴの受精卵
ニシキアナゴの稚魚
また、水槽に浮遊したチンアナゴやニシキアナゴの受精卵の採取とふ化にも成功した。観察したところ、受精卵の段階での種類の識別も可能なほど、2種の受精卵は明らかに見た目が異なっていたという。ふ化した稚魚は約10日間生存したが、その後の育成は残念ながら継続できなかった。
なお、記録データについては、日本大学でウナギの回遊行動と産卵生態についての研究を行う塚本勝巳教授のチームと共同で解析を行い、現在は論文を学術誌に投稿中とのこと。
江戸川区は都内でも比較的銭湯の多い”銭湯激戦区”。対外PRにも積極的で、「お湯の富士」という富士山と関取をモチーフにしたかわいらしいマスコットキャラクターを旗頭に、区内銭湯のスタンプラリーを定期的に行っているほどだ。
今回紹介するのはそんな江戸川区に位置する、都営新宿線船堀駅徒歩6分の「鶴の湯」。創業はなんと江戸時代までさかのぼる老舗銭湯だが、2002年にリニューアルされた。外観からは破風屋根が残る以外昔の面影はなく、現代風の銭湯に様変わりしている。
「鶴の湯」の創業は江戸時代だが、2002年にリニューアルされた
自家製の甘納豆も販売
下足ロッカーからフロントへ。入り口の手前には英語で書かれた案内板もあった。外国人の客も多いのだろうか。ロビーにはテレビとソファ、ドリンクケースなどひと通りそろっており、雑誌のほかに絵本もある。自家製の甘納豆を販売しているのもユニークなポイント。男湯は右、女湯は左の脱衣所に進む。
脱衣所は広く、掃除が行き届いており清潔感がある。ロッカーは計3面分。角型の脱衣カゴも備えられている。そのほかに体重計やマッサージチェア、自動販売機と低めの鏡台。これといった飾り気はないシンプルな脱衣所だが、つくりそのものは昔ながらのようで、高い天井は特徴だ。
編み笠をかぶって露天岩風呂につかる
男湯のイメージ(S=シャワー)
訪問したのが休日夕方とあってか、浴室内はたくさんの客であふれている。カランは計21基と特段少ないわけではないが、座る場所が見つからないほどだ。銭湯全盛期の頃は洗面器を持って順番待ちをしたと言うが、まさにそのような光景だった。
浴槽は大きく分けて3つ。ジェットバスのある白湯、黒湯天然温泉で電気風呂を併設した少し熱めの湯、そして同じく黒湯源泉100%かけ流しの露天風呂だ。都内の天然温泉では定番の黒湯だが、こちらの湯は”醤油”というよりも”烏龍茶”くらいの色で、透明度はやや高い。サウナ(別料金)の脇にはこの源泉をそのまま使った水風呂もあり、温冷浴で黒湯三昧が楽しめる。
目玉の露天風呂は岩風呂風で、屋根のない正真正銘の露天。日中は青い空、夜は星空を見ながら湯につかるのは格別だ。さらにこちらには編み笠が準備されている。これをかぶれば小雨がぱらつく空模様でも安心、ということだろうか。あまりにも風流すぎて、少し勇気がいるかもしれないが……。
船堀駅徒歩圏内には、ほかにも「あけぼの湯」、「乙女湯」がある。どちらも個性的で、設備の充実した人気銭湯なので機会があればぜひチャレンジしてみてほしい。
※記事中の情報は2015年2月時点のもの。イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。