社会そのほか速
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すっかりおなじみになったスマホやPCのタッチパネルだが、この機能を搭載したパソコンが’88年に登場していた。
キヤノンの「パーソナルステーションNAVI」だ。実際に所有していたという松本敏明さん(仮名)は、「まさに革新的の一言」と話す。
「タッチパネルどころか電話やファクスまで搭載。ワープロや表計算ソフトも入っていた。ジョブズがこのパソコンにインスピレーションを感じてiphoneに繋げたという逸話も残るほどです」
実際に当時のプレスリリースを見ると、「新時代のオフィスを創造する複合OA機器」などという言葉が並ぶ。
キヤノンに聞いても開発の経緯や売れ行きなどはわからないとのことだが、日本の技術力が世界の最先端を行っていたことは間違いなさそうだ。
一方、こちらはタッチパネル式ケータイとして外せないのが、デジタルホングループとパイオニアが共同開発し、’96年に発売した「DP-211」。国内初の全面液晶の携帯電話だ。
パイオニア提供の当時の資料によると、本製品は「パーソナルユースにおける使用シーンの多様化と、それに伴う端末の多様化」といったニーズに応じて開発。
その狙いや「状況に応じて必要な時、必要な機能だけを大きく表示」という機能、全面液晶化のスマートなデザインに関しては、iPhoneより10年早かったのかも。
― [あの大ヒット商品]は既に日本で作られていた! ―
「ゆとり」の一言ですべてを否定される20代。そんな業を背負った彼らだが、本人たちの意見を目にする機会は意外に少ない。そこで今回はSPA!20代編集者Hが若者に直撃!! 20代ライター陣とともに彼らの自己像に迫った!!
◆面倒くさいが先立ってしまい恋愛や交友関係がおろそかに
「彼女と月1でしかセックスしないことを上司に言ったら『草食系』と言われた。自分では普通だと思っていただけにかなりショックでした」(26歳・男性・金融)というように、上の世代から「草食系」などと言われた経験がある20代は少なくない。そして、彼ら自身もそう言われることで自らを「ゆとり世代」と自覚する傾向にある。
「先輩から風俗に誘われたけど断ったら『それでも男か』と言われてしまいました。確かに、風俗遊びや女遊びを“男らしさ”と考えているならそう言われるのもわかる気がします。だってボクは風俗よりスノボとかアウトドアのほうが男らしいと思うんですよ」(24歳・男性・医療助手)
別に性に興味がないわけでも草食なわけでもなく、あくまでも価値基準が違うということなのだ。
こうした価値観の相違によって「草食」扱いされるのは、女性側も同様だ。
「先輩には『若いのに勿体ない』とか『悩みでもあるの?』と言われることが多いんです。でも私はどうしても恋愛が面倒に思えちゃうんで、敢えて“作らない”という選択肢を選んでいるだけなんです。こういう考え方が理解されないんですよね」(25歳・女性・不動産)
もちろんこうした「コミュニケーションが苦手そうに思われる」のは性愛関係の話だけではない。
「フェイスブックはプライベートな場所なので、仕事関係の申請は全部拒否。先輩から『友だち申請したけど見た?』と言われるたびに、見てないフリをするのが罪悪感」(25歳・男性・物流関係)
「仕事だけじゃなく、違う世代ともあまり遊ばないから『付き合い悪い』と言われても仕方ないでしょうね……」(25歳・男性・事務)
果たして、なぜこう考えてしまうのか? 前出の25歳男性はこう続ける。
「別に悪気があるわけじゃなく、行動範囲を広げるより身近な交友関係を充実させたいんです」
「仲間」を重視しすぎるのが、あだとなっているのかもしれない。
<恋愛・交友関係でゆとり世代だと感じた理由>
1位 人と積極的にコミュニケーションをとらない…64.7%
2位 草食系であると感じた/言われた…58.8%
3位 飲み会や合コンが苦手である…47.1%
4位 男・女らしくないと感じた/言われた…11.8%
― [嫌われる20代]を自己分析する【4】 ―
2016年1月から「マイナンバー」が始まる。「いつそんなことが決まったのか」と、面白くないと思う人がいるかもしれないが、もう始まること自体は決まってしまった。せめて自分がどう振る舞うべきなのか、何に気をつけるべきなのかは、しっかりと把握しておこう。
●マイナンバーとは?
マイナンバーは1人に1つ割り振られて、基本的に生涯変更されない。結婚しても、転職しても、引っ越しても変わらない。変わるのは番号情報の漏洩があった時だけだから、特に事故がなければ一生使う番号になる。
「国民に番号が割り振られる」と耳にすることがあるが、正確には「日本に住民票のある人」である。従って、日本人でも制度開始時に海外に住んでいる人は、帰国して住民登録しなければ番号は発行されず、逆に外国籍でも長期滞在者や特別永住者など日本に住民票がある人には発行される。
そして番号は完全にランダムだ。「北海道は1で始まる」といった地域による区分はなく、同一世帯の家族でも隣接する番号にはならない。つまり、近しい人物であっても、マイナンバーの番号を類推することはできず、逆に番号から出身地や居住地、生まれた年代などを推し測ることもできない。
●顔写真のあるカードとないカード
マイナンバーは今年10月から、住民票のある住所に送付される書類で確認できる。この時送付されるのは「通知カード」と呼ばれる少々丈夫な紙カードだ。通知カードには、氏名、生年月日、住所といった個人情報と一緒にマイナンバーが記載されている。しかし、顔写真などはなく文字情報だけだ。
これとは別に「個人番号カード」というものもある。こちらは顔写真付きでICチップも搭載される。自動的に送付されてくるものではなく、市町村役場で申請することで取得できる。「そのうち写真付きのが発行されるから、紙のカードはいらない」などと勘違いして捨ててしまわず、大切に保管しなければならない。
通知カードを紛失すると大変なので、今年10月には郵便物を毎日確認し、カードが届いたならば、十分に注意を払って管理しなければならない。
機会があれば「個人番号カード」を取得してもよいだろう。ただし、こちらは顔写真の有効性などのため、10年が有効期限となっている。●マイナンバーを知らせる相手と、知らせてはいけない相手
16年1月からスタートするのは、税と社会保障に関する申請書類への番号記載だ。従って、各役所でこれらの手続きをする際には、新たに記載事項が増えることになる。個人事業主や自営業者は、企業との取引時に必要になる場合がある。
会社勤めをしている人は、税の申告などに用いるために、会社側から番号の提示を求められるだろう。ちなみに会社側は、何に使うかを明示した上で、社員から番号を収集する義務がある。例えば、「番号が必要になるらしいから教えて」などと曖昧に迫られた場合には教えてはいけない。明確に「所得税申告のために収集します」と言われた場合には、その目的のために番号を提出すべきだが、会社はそれを社会保障の申請などに転用してはならないことになっている。また、証券会社や銀行の金融機関は、お客に代わって税の申告をするために番号を尋ねることはできるが、それを顧客リストづくりに使用してはならないとされている。
また写真付きの「個人番号カード」は、身分証明書として活用することが許されている。民間のレンタルショップや各種会員証をつくる時の証明書として利用することは可能だが、この時見せてよいのは顔写真や住所の記載された表側だけだ。マイナンバー自体はカードの裏に記載されており、この裏側のコピーを取ったり、番号を控えたりすることは禁じられている。
運転免許証を身分証明書として出すと裏表のコピーを取られるようなことがあるが、「個人番号カード」ではそれが許されないわけだ。
おそらく制度開始時には、悪気なく違反するケースが出てくるだろう。個人の側でも正当な要求と違法行為を理解し、不当な要求に対しては毅然と断れるように準備しておきたい。
●番号利用に伴う「本人確認」は、どのように行う?
また、企業は従業員の番号を収集するに当たって「本人確認」が必要とされている。これは「人」と「その身元」と「番号」をしっかりと紐づけるための確認だ。
一番簡単で確実なのは、運転免許証と通知カードを持った本人に直接顔を合わせて番号を控えることだ。本人の顔と運転免許証の顔写真を照合し、運転免許証の住所等と通知カードの住所等を照合することで、本人と番号がつながる。 免許証がない場合にはパスポートや住民票など、代替で使える書類が指定されている。遠隔地に赴任している場合には、先に個人番号カードを取得させて、ICチップを読み取ることで照合する方法もある。ともかく、人と番号と個人情報がしっかりと結びつけばよい。
そしてこの確認は、個人で行わなければならないこともある。会社勤めしている人は被保険者や被扶養者の本人確認を自分で行い、その番号を自分のものとセットにして会社に提供する必要があるからだ。現実的には同居している妻や子の本人確認をあらためてする必要などないだろうが、一応本人と番号の紐づけは責任を持って扶養者が行うことになる。
●業務でマイナンバーに関わる場合
企業は、従業員の番号を取得し、管理することが義務づけられる。これは企業規模の大小にかかわらず、アルバイトやパートといった非正規従業員に対しても、本人確認を行って番号を取得しなければならない。ほかにも、退職した人の分は番号を破棄しなければならないなど、「手間がかかるシステム」として課題になっている。
しかし課題があるのは企業だけではない。税や社会保障の手続きで使うため、ITシステム管理者だけでなく、関連書類を扱う業務担当者も番号を目にすることはあるだろう。その際、番号の扱いには細心の注意を払わなくてはならない。
番号の目的外利用や不正利用、漏洩に関して、非常に厳しい罰則がある。例えば「正当な理由なく、業務で取り扱う個人の秘密が記録された特定個人情報ファイルの提供」を行った場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられるのだが、併科されることもある。
企業はセキュリティシステムを整え、従業員に対しても教育を行わなければならない。しかし、中には考えが甘く、十分な準備を行わない企業もあるだろう。システムのセキュリティレベルを引き上げる取り組みを一社員が行うのは困難だが、少なくとも自分が扱う情報について、どのような行為が禁止されているのか勉強しておくべきだろう。
マイナンバー関連の情報サイトで一番わかりやすくまとまっているのは、内閣官房が公開しているサイトだろう。残念ながら、「このサイトに目を通せば、すべてわかる」というほど全体にわたった詳細解説はされていないが、基本的なことはわかるだろう。自衛のためにもFAQを読むくらいはしておくことをお勧めしたい。
(文=編集部)
グーグルグラスは従来のコンピュータとは異なり、ウェアラブルコンピュータとして2つの方向性でイノベーションに必要な「非連続性」を秘めている。
まず、動作環境の面で、人としてより自然な行動を促してくれるようになるというのが第一の方向性である。それを可能にしたのが、「AR(Augmented Reality:拡張現実)」である。ARとは、現実の世界で知覚される情報に、デジタル化された情報を追加することで人の現実認識を強化してくれる技術である。グーグルはこの技術をグーグルグラスに取り入れることで、ウェアラブルの特性を大いに生かした。
例えば、行きたい場所に向かう際、グーグルグラスは道順を今見ている現実の景色に、地図や矢印といったデジタル化された情報を重ね合わせて示してくれる。これにより、人は進んでいる方向から視線をそらすことなく、眼前で起こる現実を自然に受け入れられる。
これがスマートフォン(スマホ)であれば、今いる位置をスマホで確認しなければならず、進むべき方向に視線を向けることができなくなるので、余計な動作が必要となり、人の自然な行動を妨げることになる。グーグルグラスはまさにこうした情報取得に関わるコストを取り除き、新たな別の情報を取得する余裕を生み出してくれる。
●アンティシペーション・コンピューティング
また、グーグルグラスは人の行動や環境といったコンテクスト(文脈)を理解し、行動を予測しながら新たな情報を示してくれる可能性を秘めている。これが第二の方向性である。グーグルグラスでは、すでにGoogle Nowを取り入れて、こうした方向性を実現するための開発を進めている。
すなわち、Google Nowによるスケジュール情報を位置情報などと連携させて、人がいかなる情報を必要とするかを予測したうえで、個人ごとにカスタマイズした情報を自動的に提示してくれる。
こうしたアンティシペーション・コンピューティング(ある情報から、次に必要だと予測される情報を判断するコンピュータ技術)の実現を可能にする技術こそが、「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」である。AIは人の行動をロギング(記録)し、それを即座に次の行動へと反映するよう情報を解析してくれる。グーグルはAIをグーグルグラスに搭載することで、ウェアラブル端末としての特性を生かした。
というのも本来、ウェアラブル端末は常に眼前の情報をリアルタイムに取得することができる特性を持つため、最新の情報をロギングして人の行動に反映するといった、いわゆる情報発信型のデバイスとして機能することで、その特性を十分に生かすことができるからである。グーグルグラスは、まさにコンテクストを瞬時に理解し、人の次なる行動や環境に即して必要な情報を新たに示唆してくれるのである。
それでは、グーグルはこうした2つの方向性からグーグルグラスの革新性を実現することができるのか。次稿では、グーグルグラスの開発リスクと将来性について検証してみたい。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)
辺野古新基地工事をめぐって、ついに沖縄県が動いた。翁長雄志知事が海底作業の停止を指示したのだ。これに対して国は、その意向を無視し作業を続行中だ。
県と国の衝突がさらに激化しそうな様相の中、辺野古を地元に抱え、翁長知事と反基地建設で共闘する名護市の稲嶺進市長は一連の動きをどのように見て、今後何をしようとしているのか?
―昨年9月の翁長さんの知事選出馬会見の日にも稲嶺さんにインタビューをさせていただきました。あの時点でも、公約に埋め立て承認の「取り消し、または撤回」という文言がないことに不安はないかと問いましたが、稲嶺さんは間髪いれず「見事な出馬表明だったと思います」と答えられていた。それが印象に残っています。
「まずは新基地推進の流れを止めることが大事だと思っていました。今まで政治的立場を異にしてきた人たちが、腹八分腹六分で、オール沖縄でまとまろうという翁長さんの主張は正しかった。本当にウチナーンチュが心をひとつにして初めて、その先に『撤回』や『取り消し』が見えてくる。まずはなんとしても翁長知事を誕生させなくてはいけない。私はそう思っていました」
―その翁長さんの新基地阻止に向けた決意と覚悟が、ようやく形として見えてきたわけですね。
「はい。熱心に反対運動をしている方は、わたしの後援会にもたくさんいます。その方たちにも『知事を追い詰めては元も子もなくなるよ』とお話ししています。あの美しい海に巨大なコンクリートブロックが投げ落とされるのを見て、決断が遅いと言いたくなる気持ちも、結果が早く欲しいという気持ちもわかりますが、行政の長は反対運動と一緒になって主張するだけではいけません」
翁長氏が知事選挙で当選した直後、選対本部で稲嶺市長から聞いた話も、今あらためて耳の奥によみがえってくる。
「官房長官は仲井眞さん(前知事)が承認したのだから、法治国家なのだから粛々(しゅくしゅく)と作業を続けると言うわけですが、その強権的な、作業の強行の仕方はまさに市民・県民を制圧しようというようなやり方です。このやり方は間違っています。
官房長官が、辺野古の問題は過去の問題だから知事選挙の結果は関係ないとも言っておられますが、絶対にそんなことはありません。私たちにとっては50年先、100年先の未来を決する問題なんです。過去の問題で片づけられたのではたまりません」
今回のインタビューで、沖縄の尊厳の問題についても稲嶺市長はこう強調していた。
「1609年に薩摩が侵攻して以来、沖縄は(日本に)外交の道具として利用され続けています。太平洋戦争での悲惨極まりない沖縄戦は言うまでもありませんが、1952年のサンフランシスコ講和条約の発効で日本から切り離され、さらに復帰しても尚、状況は変わらない。日米安保の担保として、生け贄(にえ)としてアメリカに差し出されています。もうウチナーンチュの我慢は限界に達しています。
辺野古がイヤなら代わりの案を出せと政府関係者が時々言いますが、とんでもない話です。国土の0.6%にすぎない沖縄が在日米軍基地の74%を押しつけられているというのに、この期に及んでなぜ沖縄県民が普天間基地の移設先の代案まで示さないといけないのでしょうか。
新基地建設を止めるのは、やはり民意なのだとつくづく思います。民意によって選ばれた首長が、つまり地元の名護市長の私や翁長知事が公約を守り、信念を貫いて行動すれば、市民・県民はさらに力強く支えてくれます。そのことがよくわかりました。
このうねりはもっともっと大きくなって、県外、国外へと伝わっていきます。そうなると、日本という国は、アメリカという国は、沖縄に対して何をしているんだ、という国際世論が起こります。私たちは民意によって新基地建設を必ず止められると信じています」
稲嶺市長は怒りを露(あらわ)にしたくなるような内容の話をしながらも、時には笑みを浮かべて静かに答えてくれた。だからこそ、その言葉は重く胸に響く。私たちは、政府の言い分を垂れ流すような報道には気をつけたい。何が問題なのかを正しく見つめたい。
(取材・文・撮影/渡瀬夏彦)