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室内のドアを横滑りさせて開閉する「引き戸」が注目されている。
開き戸に比べ、ドア周辺の空間を有効活用でき、風通しもいいからだ。静かに閉められる新しいタイプも登場し、改装の際、開き戸から引き戸に替える人も多い。
埼玉県越谷市の主婦(30)は昨年8月、自宅を新築した際、室内のドアのほとんどを引き戸にした。リビングの入り口に、天井まで届く、高さ240センチの引き戸を使い、室内が広々と見えるようにした。
「開き戸のように前後に開閉させる空間が不要で、スペースを有効活用できる。掃除も楽です」と満足した様子。自宅を建てる前に住宅展示場を見学した際、スムーズに開閉できる最新式の引き戸を体験し、気に入ったという。
この引き戸は、住宅建材メーカーのLIXILが開発した「Wソフトモーション」と呼ばれる仕組みを採用。戸の開閉の際、戸の本体が縦枠に近づくと上部のレールにブレーキが自動でかかり、ゆっくり動くという。そのため、勢いよく閉めても指を挟みにくく、半自動で閉まるので閉め忘れを防げる。建築を手がけたアイフルホーム越谷店の渡辺健一さんは、「指を挟むといった開閉時の危険が少なく、小さな子どもがいる家庭で人気です」と話す。
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引き戸は障子やふすまのように、日本家屋では古くから使われてきた。住まいの洋風化に伴い、開き戸が主流になったが、最近、引き戸が見直されるようになってきた。
引き戸には、ふすまのように鴨居(かもい)と敷居の間にはめ込む方式のほか、床にV字形のレールを埋設して戸車を動かす方式、天井など上部のレールからつるす方式などがある。つるす方式は床にレールを敷設しなくて済むため、見た目がスッキリする。LIXILのWソフトモーションの引き戸は、1セット7万5000円(税抜き、工事費などは含まず)から。
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こうした引き戸を取り入れたリフォームの人気も高まっている。リフォーム業者の紹介を手がける「ホームプロ」(東京)によると、開き戸を引き戸にするリフォームを希望した人は2012年に791件だったが、13年には846件に増加。「車いすの使用などを想定し、高齢者を中心に引き戸への関心が高まっている」と同社担当者。
1級建築士の久坂美津子さんは、東京都武蔵野市の自宅マンションを数年前にリフォームした際、収納棚の扉も含め、ドアのほとんどを引き戸に替えた。「荷物を持ったままでの開閉が楽。風通しが良いのが何よりいい」と話す。
久坂さん宅では、引き戸をドアとしてだけでなく、部屋の仕切りや目隠しなどとしても使っている。板戸のほか格子戸、鏡張りの戸、ガラス戸など、設置する場所によってデザインや色合いを変えた。
ただし、短所もある。「一般的な引き戸は開き戸よりも密閉性が低く、隙間から隣室の空気や音が漏れることがある」と久坂さん。また、戸を引き込むスペースが必要なため、間取りによっては引き戸にリフォームできない場合もある。久坂さんは「モデルルームなどでよく確認し、場所や予算に合わせて設置を検討してほしい」と話している。