社会そのほか速
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高橋維新[弁護士]
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フジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!」の「シンクロナイズドテイスティング」という企画は、目をつむって料理を食べ、何の料理かを全員が当てられないと、氷水に落とされるというベタで古典的なゲームである。
表面上の見所は、芸人たちのリアクションなのだが、そんなものは1回見れば飽きるので、何回もやるような種類のものではない。
番組がやろうとしているのは、氷水プールの壇上や命の湯に入った後のコントである。すなわち、この企画はゲームと失敗時のリアクションを楽しむ体の、ドキュメンタリーコントなのである。本当の眼目はリアクションではなく、その前後のコントにある。だから、その部分の尺が長くとられている。
2月28日の放送を例にとる。
加藤浩次と有野晋哉(よゐこ)のロシア代表は、「一人周りにノリきれていない品川」というコントである。
ハリセンボンの中国代表は、「リアクションでオイシくなろうとする近藤春菜と真面目すぎて真面目にゲームで正解しようとしてしまうおのののか」というコントである。
岡村隆史(ナインティナイン)と原西孝幸(FUJIWARA)のアメリカ代表は、「いつもの芸をやろうとする2人を自由すぎる川島がぶち壊す」というコントである。
濱口優(よゐこ)の日本代表だけは何をやりたいのかがよく分からなかっが、シメの「喧嘩して揉み合いの中で落ちてオイシくなろうとする奴が出てくるけど、結局関係ない人が落とされてその目的が達成できない」というのもいつもやっているコントである。
いずれも、全て台本通りのはずである。
このコント自体、リアクションを見ようという気になっている視聴者の不意を突く狙いのものであるが、このコーナーも回数を重ねすぎており、見る人が見れば大体の流れは予想がついてしまう。もう、企画の賞味期限自体が切れているのである。
ではなぜこのコーナーが続いているのか? やはり、事務所の差し金だろう。
シンクロには、売出し中の若手から中堅の芸人がめちゃイケのレギュラー陣に混ざって起用される。そこは腐っても「めちゃイケ」であり、芸人を抱える事務所(特に吉本)は名前を売りたい芸人たちをねじ込んでくる。だから吉本所属の8.6秒バズーカーは出てきても、ワタナベエンターテインメントのクマムシは出てこないのである。
番組やテレビ局がもうおもしろくなくなったこのコーナーを終わらせようとしても、吉本が終わらせてくれない。結局、番組も演者に制約がある中でカメラを回さざるを得ず、おもしろさのみを重視したストイックな画作りができない。だから、出来上がりも中途半端になる。
とはいえ、吉本のねじ込んでくる枠を「8.6秒バズーカー」一組に押さえたのは「めちゃイケ」の意地のように見えた。
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