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「そろそろイチゴの季節だね」や「今回買ったイチゴはとても大きいよ」といった言葉は意味をなさないものになるのかもしれない。
ハウス栽培が広く行われている現在でも、私たちはイチゴをはじめとする果物にはどれも収穫時期や獲れる量に限りがあると考えるものだ。しかし、最先端の農業技術を利用すれば、イチゴは年中栽培が可能となり、さらには大きさをコントロールすることも可能だという。
日本にもこうした先進的な取り組みを行う植物工場があり、つい先日も世界最大のイチゴを収穫したことが大きな話題となった。
■ LEDを使った世界初の閉鎖型植物工場で栽培
新潟県胎内市にあるいちごカンパニーは、高糖度の『とろける香りイチゴ』を一年を通して販売している。同社のイチゴは、一般的なビニールハウスではなく、LEDを使った世界初の閉鎖型植物工場で栽培。収穫する時期だけでなく、大きさもコントロールすることができるといい、つい先日も植物工場で獲れたものとしては世界最大となる約58グラムのイチゴの収穫に成功した。
閉鎖型工場での栽培は、メンバーの「イチゴの本当の美味しさを伝え、それを一年中お届けしたい」という気持ちからスタート。技術のイノベーションを進めることで独自の栽培方法を開発し、天候の変化や日照条件に影響されず、品質の均一なイチゴを安定して消費者のもとに届けることを実現した。
■ 日本の農業の新しい扉を開きたい、という思い
世界初の閉鎖型植物工場でのイチゴ栽培は、LEDを使った人工光での栽培、ハチを使った受粉方法、といった革新的な技術に支えられている。栽培には化学合成農薬を使用せず、洗わずにそのまま食べられる点も大きな特徴だ。この栽培システムでは、温度、湿度、二酸化炭素などのデータを記録・管理し、大きさ、甘さ、香りなどを最適化。常に一定の品質となるようコントロールしているそうだ。
同社のメソッドを利用すれば、通常一年に1回しか作れない苗を年に最大12回作れるほか、完全閉鎖型植物工場なので、世界のどんな場所でも同様な栽培を行うことができるというから驚きだ。いちごカンパニーのこうした取り組みの裏には、“日本の農業の新しい扉を開きたい”という信念が隠されている。
農業に新規参入する人々に対しては、蓄積した知見や経験などを結集したノウハウをクラウドシステムを通して提供するといい、未経験者でも3ヶ月程の研修で栽培管理できるようになるということだ。
ビジネスとしてだけでなく、社会へのコミットメントまでビジョンに入れた同社のイチゴ栽培。掲げているノウハウ提供が広く行き渡るようになれば、参入障壁は今よりも低いものとなり、農業就業者の下降にも歯止めがかかるのではないだろうか。
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