韓国ソウルで顔を切りつけられたリッパート・アメリカ大使。大使館の前には人々が集まって「早くよくなって」などと書いた看板を掲げています。献花台が設けられたほか、先日は愛犬家であるリッパート氏に犬の肉を差し入れてしまった人もいたそうです。韓国人たちが謝罪をし続けるリッパート氏。１０日、痛々しい姿で退院しました。
　　襲撃事件から５日、リッパート・アメリカ大使が退院しました。８０針縫った顔面は絆創膏で覆われ、手にはギブスが・・・。ソウル市中心部の講演会会場で突然、刃物で襲われたリッパート大使。
　
　　１０日、退院を前に病院で記者会見に臨み、「米韓同盟は揺らぐことはない」と強調しました。
　
　　「（英語）米韓関係の背景にある目的と決意は、今後も変わることはありません。（韓国語）“雨降って地固まる”一緒に歩んでいきましょう」（リッパート米国大使）
　
　　一方、殺人未遂容疑などで逮捕されたキム・ギジョン容疑者。反米、反日活動家で、これまで７回、北朝鮮を訪れたことがわかっていますが、さらに詳しいことが明らかになりました。警察はキム容疑者の自宅などを家宅捜索し、書籍や携帯電話、パソコンなど２１９点を押収し、専門家にも押収物の分析を依頼しました。
　
　　「（押収物のうち）１０点余りが北朝鮮に利敵性あり（＝北朝鮮を利する）という結果であった」（韓国警察の会見）
　
　　公開された押収物の中には、故・金正日（キム・ジョンイル）総書記の著作「映画芸術論」や故・金日成（キム・イルソン）国家主席が唱えた北朝鮮の指導理念、主体（チュチェ）思想の学習資料などが含まれています。こうした書籍は、韓国で手に入れることはできません。
　
　　さらに、キム容疑者はこんな供述もしているといいます。
　　「『韓国に金日成ほどの指導者はいない』『国家保安法は悪法だ』などと話している」（韓国警察の会見）
　
　　このため捜査当局は、北朝鮮を利する行為を禁じた国家保安法違反の容疑での立件も検討しています。キム容疑者は事件と北朝鮮との関わりを否定してるということですが、捜査当局は捜査範囲を広げて、犯行の背景に何があったのか解明を進めています。（10日16:37）