ソニーのパソコン事業が独立したＶＡＩＯ（バイオ、長野県安曇野市）は１２日、携帯大手から通信設備を借りてサービスを提供する仮想移動体通信事業者（ＭＶＮＯ）の日本通信と共同開発したスマートフォン「ＶＡＩＯ　Ｐｈｏｎｅ（バイオフォン）」を発表した。国内の携帯電話市場は飽和状態だが、知名度のあるバイオブランドの端末と格安スマホ並みの安価な料金をテコに顧客の獲得を目指す。
　
　　バイオフォンは画面サイズが５インチで、基本ソフト（ＯＳ）は米グーグルの「アンドロイド５．０」。パソコンとの統一感があるシンプルな黒色で、日本メーカー製のスマホに搭載されている「おサイフケータイ」機能や防水機能などはない。一方で、スマホを固定電話の子機のように使える機能やセキュリティーを強化する機能などを必要に応じて追加できるようにして個人だけでなく、企業の需要も取り込む考えだ。
　
　　端末代を含めた月額料金（通話料は別）は、高速データ通信の容量が１ギガバイトの場合は月２９８０円（税別）、使い放題なら月３９８０円（同）で普及が進む格安スマホと同レベル。ネットや家電量販店、イオンなどで今月２０日以降に発売開始する。
　
　　東京都内で記者会見した日本通信の三田聖二社長は「米アップルと対抗できるブランドはバイオ。携帯大手がやっていない商品を発表し、発展させる」と話した。単純な「格安スマホ」ではなく、ブランドや付加価値サービスを訴求して新たな市場を掘り起こす考えだが、「期待していた割にデザインや性能、価格も中途半端」（通信アナリスト）との声もある。【横山三加子】