【ニューデリー金子淳】インド政府が、首都ニューデリーなど国内１０都市で大気汚染をほぼリアルタイムで観測するシステムの運用を始めた。観測値は汚染度合いが一目で分かるように６段階に色分けし、中央汚染管理委員会のウェブサイトで公開。インドでは経済発展に伴い大気汚染が深刻化しているため、国民の意識を高め改善につなげたい考えだ。
　
　　◇ＰＭ２．５濃度、北京の３倍
　
　　インド環境森林省の発表によると、観測が始まったのは微小粒子状物質「ＰＭ２．５」や「ＰＭ１０」、窒素酸化物などの汚染物質。健康への影響が「深刻」など６段階で表示する。今回１０都市で同じ指標が導入されたことで、都市間の比較が可能になった。政府は今後、各州都や主要都市など計６６都市でも導入する計画。
　
　　世界保健機関（ＷＨＯ）が昨年５月に公表した調査では、ニューデリーのＰＭ２．５の年間平均濃度は中国・北京の約３倍で、世界９１カ国１６００都市で最悪だった。
　
　　また、汚染のひどい２０都市のうち１３都市をインドが占めた。特に冬季はひどく、汚染が原因とみられる濃霧により航空機の欠航や鉄道の遅延もたびたび発生している。
　
　　１月にオバマ米大統領がニューデリーを訪問した際は、大気汚染により３日間の滞在でオバマ氏の寿命が６時間縮んだとの専門家の見方も報道された。

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