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◇設置3年、境港に16体
妖怪と並ぶ観光資源・魚介類のオブジェが、境港市の境水道沿いの海岸付近に並ぶ「おさかなロード」が24日、設置を始めて丸3年を迎える。スポンサーを募って増やし、現在は16体に。観光客にも徐々に知られるようになり、企画した地元のNPO法人「元気みなと」は「水木しげるロードに続く名所に」と、50体を目指す。(立山光一郎)
妖怪のブロンズ像が並ぶ水木ロードが年間200万人以上の観光客でにぎわう一方、隣接する旧銀座商店街や、海岸沿いの通りは寂れていた。そのため、港町のにぎわいを取り戻そうと、街おこしに取り組む同NPOのメンバーらが始めた。
水木ロードの東端から、境台場公園までの約1・2キロ。道路沿いの商店や事業所などの前に、実物から型を取った鋳物の魚介類を、石の台座に据えて設置している。
第1号となるトビウオのオブジェが、西の起点近くに置かれたのが2012年3月24日。その後、松葉ガニやキジハタ、スルメイカ、アカエイなど種類は増え、今年1月には16体目となるヤリイカが設置された。同市内の商店や漁業関連業者、同市出身者などが、スポンサーとして協力している。
市観光協会が14年度版観光パンフで紹介するなどし、水木ロード目当ての観光客らも訪れるように。昨年6月の平日に通行者数を調べたところ183人で、観光客も目立つようになった。さらに、地元の小学生らが案内看板作りに取り組むなど、魚をテーマにした街おこしの機運も高まる。
21、22日にはロードで、海の幸を楽しむ「第1回境港おさかなロード大漁祭」(元気みなと商店街主催)が開催。地元海産物の加工品や料理などの人気を競う「Sea級グルメコンテスト」や、オブジェを巡るスタンプラリーなどが行われる。同NPOの吉田明広理事長(46)は「ロードが呼び水となって飲食店が出店し、観光スポットとして定着するよう、オブジェをどんどん増やしたい」と話す。
◇実物から型、リアル追求 制作・森下明時さん
「おさかなロード」のオブジェは、米子市博労町で、スズ鋳物クラフトを手がける森下明時(みつよし)さん(61)が制作。本物の魚介類から鋳型をとり、着色する独自の技法で作る。金属独特の重量感があり、ロードで抜群の存在感を示している。
下水管などを製造する鋳物工場に勤め、技術を習得。釣りが好きで、30歳代の頃から魚の鋳物を作っていた。中断した時期もあったが、50歳頃から活動を再開した。
転職先を退職後の2010年、自宅に工房を開設し、日常雑器なども製作。米子工芸会員で、京都市内のギャラリーで個展を開くなどしていた。作品が「元気みなと」のメンバーの目にとまり、オブジェの制作を依頼されるようになった。
魚らしい質感を出そうと、うろこの1枚1枚も鋳造で表現。塗料には、車にも使われる高級品を採用する。風雨や日光にさらされる厳しい環境にも強い、耐久性が特長だ。森下さんは「ロードに置くことで、多くの人に見てもらえるので作りがいがある」と話す。