社会そのほか速
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1月中旬、石川、岐阜両県と中部運輸局などが香港のメディアと旅行関係者に北陸を含む広域観光ルートを紹介するツアーを開いた。新幹線開業を前に、仏ミシュラン社のガイド本で高く評価される白川郷や兼六園、飛騨高山などを結ぶ「北陸飛騨3つ星街道」を紹介するのが狙いだ。
香港最大手の旅行会社「EGLツアーズ」のウォン・ヒルソンさん(26)は、兼六園の雪吊りを眺めながら、「日本の伝統文化や暮らしに触れられる金沢や岐阜などを巡るルートが今後、選択肢に入ってくるだろう」と実感を込めた。
新幹線開業効果を最大限享受するため、沿線自治体や旅行会社は、県境を越えた広域観光ルート作りを急ピッチで進めている。
阪急交通社(本社・大阪市)は、「北陸大周遊」と銘打ち、金沢や白川郷、福井県の東尋坊、永平寺を訪ねる周遊ツアーを用意。クラブツーリズム(本社・東京都新宿区)は、茶屋街や五箇山、白川郷、善光寺など、石川、富山、岐阜、長野の4県を3日間で巡る商品の売り込みに力を入れる。
JRも広域観光圏を割安に移動できるチケットを設定。JR西日本は、第3セクター各社と連携し、週末と祝日に長浜(滋賀県)から谷浜(新潟県)までの区間で普通列車に自由に乗降できる「北陸おでかけパス」(2500円)を販売する。上越妙高(新潟県)から関西エリア(和歌山、兵庫、岡山)までの広範囲で新幹線や特急の自由席が7日間乗り放題となる外国人向けの「エリアパス」も格安で売り出す予定で、北陸新幹線を活用して周遊する範囲は一気に拡大する様相だ。
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北陸経済連合会は、2015年度の活動について「北陸3県が一体となって広域観光を推進する」との方針を盛り込んだ。各県単位での観光振興と並行して、北陸全体、さらに北信越といった広範囲の観光圏の確立を目指すことで、誘客面で相乗効果が得られ、経済効果が高まるとみている。
こうした視点で注目されるのが、北陸と長野との連携だ。立山黒部アルペンルートでつながる富山県と長野県は、従来から、外国人観光客の誘致を共同で行ってきた。阪急交通社も長野を含めた北信越観光圏に注目しており、4月5日から7年に1度のご開帳が行われる長野市の善光寺や金沢、飛騨高山を巡る商品の売れ行きが好調という。
新幹線開業で金沢―軽井沢、富山―軽井沢間はそれぞれ最短で100分、80分程度で結ばれ、リゾート地・軽井沢からの交通の便が格段に良くなる。軽井沢プリンスホテル(長野県軽井沢町)が1月下旬から開いている「北陸フェア」では、石川、富山両県が伝統芸能を実演したり、観光情報ブースを設置したりして、軽井沢からの誘客を狙う。
ただ、石川、富山両県の協力が進んでいないとの指摘もある。11年3月の九州新幹線開業では、九州7県が観光推進機構を設立。修学旅行の誘致や広域観光ルートのPRで協調し、成果を上げた。富山国際大現代社会学部の高橋光幸学部長(地域観光)は「広域観光圏に魅力があれば滞在時間が長くなり、経済効果も大きくなる。行政は、なわばり意識を捨てて連携を強めるべき」と提言する。