社会そのほか速
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■ベッドを共にした男の名前と顔
この冬、三年の交際期間を経て入籍をした夫と、夫婦となって三年目に突入した。“新婚”と呼ばれる期間がいつまでなのかは諸説あるが、さすがに三年目ともなれば胸を張って「新婚です」とは言えない。
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むしろ三年目といえば“浮気の年”と言われている。いまだ中高年層の間で定番のデュエットソングではないが、科学的にみても恋愛の賞味期限――ドーパミンが大量噴出される期間――は三年が限界という説はあながち間違いではないようで、わたし自身、結婚する以前に付き合った男性とは、九割方が三年以内に別れている。
しかし、その『別れた男たち』がいったい何人いたかは覚えていない。
十代の頃、ふと思いついて、件の某男性文化人のごとく手帳に名前を書きだしてみた。ついでに、付き合った付き合わないは関係なく、セックスをした男の名前も書き記しながら、「今はかろうじて記憶にあるけど、そのうちすっかり忘れてしまう人も出てくるんだろうな」と思ったことをなんとなく覚えているし、それから二十年が経った今、ベッドを共にした男の名前と顔を全員覚えているかというと、答えは当然「ノー」だ。あの頃のわたしの予感は正しかった。
■結婚したって、恋愛は出来るか
どちらかといえば、奔放な、下半身にだらしのない青春を過ごしたので、もちろん、恋もたくさんした。というか、むしろ十代から結婚するまで、恋愛をしていなかった時期はない。
恋人として愛されていたばかりではなく、セフレ扱いされていたこともあるし、不倫にハマったこともある。どんな形態であれ人生の半分以上、恋愛をしながら生きてきた。
だから、今の夫と結婚するとなった時には、満ち足りた幸せを感じながらも、一方で、「ついにわたしは、恋愛を手放すのか」と寂しい気持ちを抱いた。それが結婚というものだとわかっていても、寂しさと惜しさが気持ちの片隅にあった。
しかし、「結婚したって、恋愛は出来る」という別腹理論もある。夫と平穏な婚姻生活を送って幸せだけど、恋愛のトキメキは別、というやつだ……というと多くの人々は「なにを寝ぼけたことを」と怒ったり呆れたりするだろう。家族や友人を巻き込むことになる“結婚”を、そんな生半可な気持ちでするだなんて、失礼な話なのだ。しかし、理性で片付けようとしても、人間、そう上手くはいかない。
たまに、独身時代は、恋愛がいつもあまり上手くいっていなかった友人がふと漏らした言葉を思い出す。「結婚をした時に、もうこれで恋愛をしなくていいと思って安心した」。彼女にとって、“苦しい恋愛”を手放すことのできる、結婚は救いだったのだろう。
だから、いま、恋愛で悩んでいる女性の方は、結婚をしたらきっと幸せになれます。恋愛の悦びを知っている女性ほど、結婚をすると、苦しむことになるかもしれません。
Text/大泉りか