社会そのほか速
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人と人とのコミュニケーションになくてはならない「言葉」。その言葉の選び方や使い方には、その人の性格や人間性が非常によく表れます。同じ内容を話しても、なんとなく不快に感じる人もいれば、心地良く感じる人もいます。誰だって、心地良い人のそばにいたいものです。自分にとって話しているだけで心地良い人、言うなれば「言葉の愛撫」が上手な人には本能レベルでまた会いたいと思うことでしょう。
■「言葉の愛撫」とは?
愛しさを込めて優しく撫でるように愛でることを愛撫といいますが、それはなにもベッドの中だけですることではありません。日常の中で、言葉によってもできるものなのです。言葉の愛撫といえば、なんとなく相手が喜ぶことを言うのだと想像できると思いますが、お世辞を言って単に喜ばせるだけでは足らないのです。
たとえば、初対面の人が明らかにオシャレに気を遣っている人だとしたら、そのセンスを褒めたり、限定品を身につけていたらそれを話題にしたら気分が良くなるでしょう。ここまではお世辞ともとれる一般的な社交術であり、簡単な褒め方にすぎません。
しかし、よくある社交辞令のようなものでは、人の心をつかむどころか記憶にすら残りません。特に、相手がモテるタイプだったり出会いが多い人の場合、軽い褒め言葉ではあいさつ程度にしか思われないでしょう。そこで、カギとなるのが、言葉の愛撫なのです。
言葉の愛撫には、大きく分けて2つのパターンがあります。
■言葉の愛撫【パターン1】:「嬉しくて恥ずかしいけどもっと言われたい言葉」を贈る
まず、「相手が普段言われそうで言われないプラスポイント」を見つけることです。たとえば、ビシッとキメたエリート男性がふいをつかれて少し慌ててしまったり、会話中にヒートアップして言葉を噛んでしまったときなんかに「○○さんってチャーミングですね」とか、「○○さんって可愛い人なんですね」と言ったら、どうでしょうか。
隙がなく見えるエリート男性は日頃から「カッコイイですね」とか「すごいですね」といった言葉は星の数ほど言われています。しかし、初対面で「チャーミング」とか「可愛い」とはそれほど言われないでしょう。もちろん、自分とあまりにかけ離れた立場の相手にこのようなことを言っては失礼にあたることもありますが、ある程度会話をすることができる関係の相手なら嫌な気分にはならないはずです。むしろ、照れながらも喜んでくれるでしょう。
さて、カンの鋭い方はもうおわかりかもしれませんね。言葉の愛撫の1つ目のパターンは、言われると「嬉しくて恥ずかしいけどもっと言われたい言葉」を贈ることなのです。
■言葉の愛撫【パターン2】:「心を癒す絶妙な言葉」を贈る
落ち込んでいるときに優しい言葉をかけられると救われた気分になるように、時として言葉に支えられたり守られたりすることがありますよね。そういった絶妙な言葉を贈ることも、言葉の愛撫の一種です。
たとえば、同期より出世が早かったせいで、ありもしない噂を立てられて傷ついている人がいたとします。その人が、こんな言葉をかけられたらどうでしょうか?
「嫉妬されたり、嫌がらせをされたり、噂を立てられたりするのは、それだけあなたに魅力がある証拠ですね」
なんだかちょっと心が軽くなる気がしませんか?
そうです。言葉の愛撫の2つ目のパターンは、言葉によって心を癒す愛撫なのです。ポジティブな気分になるきっかけの言葉、どうしようもなく弱っているときにふわっと優しく守られたような気持ちにしてくれる言葉、心にポッと火が灯るようにあたたかい気持ちになる言葉、幸せになれる言葉。それらを贈ることも、言葉によって相手を優しく撫でるように愛でていることに他ならないでしょう。
■互いに言葉の愛撫ができる人とは離れられない
想像してみてください。一方的ではなく、相互に言葉の愛撫ができる人がいたらどうでしょうか? きっと、互いに「また会いたい」と思わずにはいられず、強く求め合うことでしょう。
言葉の愛撫とは、単に文字を伝えるだけではありません。字のごとく、「愛撫」であるわけですから、言葉のチョイスはもちろん、それを発するタイミングや声のトーン、言い方など、言葉による愛撫の強弱が相手にとって絶妙に心地良いものでなければなりません。それは決して簡単なことではないでしょう。ですが、絶妙に心地良い、言葉の愛撫ができる人――つまり、話をするだけでたまらなく心地良い相手はなかなかいませんよね。そんな相手を求めない理由はありません。
誰かと一緒にいて、一言も言葉を発しないことはないのですから、お互いに心地良い言葉の愛撫ができる関係ほど素晴らしい相性はないのではないかと思うのです。そして、言葉の選び方や言い方や言うタイミングといったものは、一緒に話すほどにさらに心地の良いものへと磨かれていきますから、そんな二人が共に時間を過ごせば過ごすほど離れられない二人になることでしょう。
文・桜井 結衣(All About 桜井結衣の恋愛コラム)