発言小町に、「顔色をうかがい過ぎる男性」という投稿が寄せられました。
トピ主さんは30代前半の女性。最近知り合い、2回ほどデートした彼が、あまりにトピ主さんの顔色をうかがってくるので気になっています。仕事の後には「疲れてる?」、ご飯中に黙り込むと「緊張してる?」――そんな発言を連発するとか。歩いているときも、「大丈夫? 歩かせてごめんね」と繰り返すそうです。「見た目も爽やかだし、感じの良い男性なのですが……」と、彼の“気を使いすぎるところ”だけを理解できないでいます。
■顔色をうかがわれすぎるのが苦痛な理由
投稿に対し、ユーザーから「彼は優しい人なのでは?」という指摘がありました。トピ主さんはこう答えています。「確かに優しいです。でも、何となくオドオドした優しさであり、こちらの近況を伺うときに束縛感を感じてしまう」「彼の場合は必死に合わせようとしている感じで」――。
おそらくトピ主さんは、彼にもっと自由に、リラックスして振る舞ってほしいと思っているのでしょう。相手を気遣う態度というのは、喜ばれる反面、フランクさやフレンドリーさに欠ける印象も与えます。そして過剰に気遣われると、人は逆に緊張し、居心地が悪くなってしまうこともあります。
他人の顔色を過度にうかがう心理的理由としては、以下のようなものが考えられます。
・目の前の相手に「気に入られたい」という思いが強すぎるから
・異性に嫌われることや、恋愛で失敗することを、極度に怖れているから
・「普段のままの自分では好かれない」と思っているから
彼は、「過去に付き合った女性に、よく疲れると言われた」「最近食事に行った女性が、デート中に様子が変になっていき、『合わないですね』と面と向かって言われた」といった話を、トピ主さんにしたそうです。その話から察するに、彼は「ありのままの自分で振る舞ったら女性に嫌われる」「デートでまた同じ失敗するのではないか」と恐れているのでしょう。デートでの緊張度が強く、リラックスできないために、何度もトピ主さんの気持ちを確認しなければ落ち着かないのだろうと推測します。
ただ、こうした心理から発する“気遣い”は、本来の気遣いとは少し違うとも言えます。トピ主さんの気持ちを気にしているようで、実は「僕のこと、嫌いになっていない?」「僕は、ちゃんと魅力的に見えている?」と聞いているようなところがあるからです。
自分の感情にとらわれすぎていると、肝心の相手に目が向いていきません。例えば、トピ主さんの「知らない街を歩くのって面白いよねぇ」といった発言を、彼は「ホントに?」と疑うばかりで、ちゃんと受け止めていないですよね。不自然に見え、また言い訳や取り繕いの発言も多くなるため、普通にしていれば周囲に感じてもらえるような自分の魅力さえ相手に伝わらない、ということもでてきます。自分の見え方を気にしすぎるあまり、相手のことも理解できず、かつ自分の本来のよさも発揮できない、という悪循環が起きてしまいます。
今回のトピ主さんも、今のところ「食事をいつもご馳走してくれて、見た目も爽やかで、とても感じの良い男性」だと思っているのに、彼のほうが「嫌われまい」「好かれよう」と思いすぎているあまり、居心地のいい関係が築けず、恋愛の先行きも怪しくなっています。せっかく悪からず思っているのに、それはとても残念ですよね。
■リラックスしてもらうには何ができる?
トピ主さんがこの関係にまだ可能性を感じていて、気を使いすぎる態度を改めてほしいならば、思いきって「気付き」をうながしてみるのも一案です。
例えば、「もし私があなたの顔色をうかがってばかりだと、どうでしょうか。ちょっと息苦しく感じませんか?」と立場を逆にして考えてもらったり、「私は過去の女性たちとは違う人間なのだから、思い込みや先入観なしに、接してみてほしい」と伝えてみたりする方法もあると思います。
また投稿には、「疲れていないし緊張してない、顔色伺い過ぎじゃない? と(彼に)伝えてあげたい」ともつづられています。そうですね、直接「もっと楽にしてくださいね。私は楽しんでいますから!」と言ってあげるだけでも、彼は今よりもリラックスできるかもしれません。
ただ、恋愛を前提としている男女の場合、難しい面もあります。リラックスした彼の“素”の姿を見たときに、トピ主さんは「ちょっと違うかも」「異性として好きにはなれないかな」と思う可能性もゼロではありません。そうなると、彼は「ほらやっぱり。優しいことを言ったけど、オレはどうせダメなんだろう」なんてネガティブな考えに陥ってしまうかもしれません。
ただ、そうなったからといって、トピ主さんには、その思いをどうしてあげることもできないのが現実です。
今の彼は、女性への接し方に自信がなく、「素の自分では愛されない」という思い込みがある様子。恋人ができれば、多少はその思いも軽くなるでしょうし、自信も増すでしょうが、自分の自信をすべて恋人に裏打ちしてもらわなければならないという状態は、恋愛関係をダメにすることが多いです。
彼のほうへのアドバイスになりますが、他人との関わりを通して、自分のなかにある対人関係の癖や思い込みに気付くことは、自己変革の第一歩。トピ主さんとの関係を、ぜひ自分を変えるチャンスにしてほしいなと思います。
■心の深くまで分かり合えるからこその、愛情関係
最後に、二人の今後について。トピ主さんは自分自身について、「私はどちらかというと恋愛に関してあきらめも早いし、傷ついても引きずらない」「去る者追わずで、次、次! と切り替えられます」と記述しています。そして読者のアドバイスに対しても、「男性を育て直す恋愛はすごく苦手なので、あと数回会ってみて合わないなという気持ちが固まったら、はっきり伝えてみます」という決意を伝えています。
合わないと思う相手に、しがみつく必要は全くありませんし、自分の幸せを考えての選択は大切です。でももしも、トピ主さんの異性関係が長続きしない状況が続いているのだとしたら、今よりももう少し、相手を分かろうとする努力をしてみることで、その状況は変わってくるかもしれません。
誰でも長所ばかりではないものです。相手の表面しか見えていない段階で、早々に切り捨てるような判断を繰り返していると、今度は「合いそう」と思える相手、大切な一人の彼が見つからないという悩みにつながるケースもあるので、お節介ながら補足までに……。
極端な話、次に知り合う男性が顔色をうかがわないタイプだったとしても、この彼のように食事をおごってくれないかもしれないし、見た目も爽やかじゃないかもしれませんよね。多少気になる点はあるものの、彼の良さを感じていて、それに価値も感じているならば、リラックスしてもらうための提案も、ぜひ一度は試してみてはどうでしょうか。
人の心には、それぞれに色々と複雑な気持ちがあるものですが、愛情関係はそうした深い部分まで理解し合おうとするからこそ、素晴らしい関係でもあります。他人を変えることには限界がありますが、そんなこともぜひちょっぴり、考えてみてくださいね。
(外山ゆひら)