社会そのほか速
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「5年前の国勢調査から各年代の未婚率を調査した結果、5年前に35~39歳だった未婚男性のうち、結婚できた割合は9.7%だった」とのデータがある。年齢が上がるほど結婚率は小さくなり、35歳を過ぎての結婚は「司法試験の合格率より低い」そうだ。
10年以上前には、女性経験の少ない男にコツを教える「ナンパ塾」が流行ったものだが、最近は、そういったものを活用して何とか女の子と付き合おうとする男性は少ないのだろうか。そこで、業界の第一人者であり、『新「ナンパ塾」完全極秘マニュアル』(河出書房新社)などの著書もある草加大介氏に「ナンパ塾・今昔物語」を聞いてみた。
●「褒めて伸ばす」方針で恋愛ハウツーを伝授
SNSの発達によりネットを通じて接点をもてる昨今だけに、ナンパ塾の需要そのものは昔より減っているという。
「今のコンビニってアニメ系のエロ本が置いてありますが、塾開講当時にはなかった。つまり、昔はナンパ塾に来た人たちが、生身の女性ではなくアニメで満足している。そのため、モテない男性の多くが現状に危機感をもっていません」
その反面、「生徒の質は格段によくなりました」と草加氏は言う。昔の塾生は見た目も汚い上に“コミュ障”を疑うような男性も多かったそうだが、最近は「若い医者や一流企業のサラリーマン、会社経営者など、高学歴で収入もよい男性」がやってくるそうだ。
ある調査によれば、女性が結婚相手に求める年収は「600万円以上」とのこと。しかし、30代の独身男性でそれをクリアするのはわずか5%だ。
「生徒は30~40代中心、地方在住が多いです。ソコソコはモテそうだけど女性との接点がない、あるいは度胸がない。そんな人たちがやってきます。早ければ10人目、粘れば25人ぐらい声をかければ成功しています。頭がいいので上達も早いですね」
条件がいいなら婚活サークルに行けば……とも感じるが、「女性経験がないからウチに来るんです。たとえば兄が結婚に失敗している人が焦りを感じています。婚活や結婚に失敗しないために、女性経験を積みたいわけです」という。
草加氏の指導を受け、実際のナンパに成功する人数そのものは、昔も今も7割ほどだという。「“下手な鉄砲、数打ちゃ……”方式であきらめるな」と教えるのは鉄則中の鉄則だが、大きく変わったことがある。昔は塾生たちに対し、教室で怒鳴り散らしながら教えたそうだが、今は「怒れなくなっている」というのだ。
「怒ると、ビビッて辞めちゃうんです。ウチに来る人は、スポーツもせず、習い事やサークル活動にも縁がないため怒られた経験がない。“褒めて伸ばす”のが絶対条件です。ちょっと怒るとすぐに自信を失くしちゃうんです」
中には会社をクビになった人もいる。聞けば、上司へのお中元は当然贈らず、朝の挨拶すらしていなかった。口をつくのは会社や同僚の悪口ばかりで「女性にモテないのも当然」(草加氏)だという。
●2か月で消滅も… 厳しい「ナンパ塾」経営
草加氏の塾では、生徒の目の前で実際にナンパを行うやり方は変わらないものの、昔のように大勢に講義する形ではなく、料金を上げて「少数精鋭」で徹底的に仕込んでいる。立ち上げては消えるナンパ塾を10年以上維持する彼いわく「ウチを含め、やっていけるのは数えるほど」だとか。
「最盛期と比べて4分の1ぐらいになったと思います。ホームページを作るのはたやすいけど、2か月後に消えるなど当たり前。『片手間にできる』と感じる人も多いんでしょうけど、いまどきホームページを見ただけで金を振りこむヤツなんかいませんし、副業でやれるほど甘くはない。飲食業の人のために平日もやりますし、土曜の夜など生徒とともに夜を明かします。路上実践は集中力がいるので終わった後などクタクタです。婚活セミナーも同じですが、コストなんか削りまくらねばならないのに、この値段でやれるのかと思うところも多いです。料金が安いと質は低下するのは、どの業界も同じです」(草加氏)
女性はもとより、車は持たず酒も飲まない、そんな男性は増える一方だ。郊外のラブホテルの駐車場も「満車」の表示はほとんど目にしない。先行き不透明で貯金をしないと不安でもある。パソコンがあればゲームもできるしマンガも読める。
欲望をもたないだけに、日常すべてが「受動的」。しかし、女性だけは能動的にならねば間違いなくゲットできない。積極的な女性は少数派であり、そんな女性がいたとしても、結婚詐欺師の可能性だってないわけではないのだから。
(取材・文/小川隆行)