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唐鎌大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
[東京 27日] – かねてより述べている通り、筆者は需給が円相場に与える影響を分析する際に、独自に作成した「基礎的需給バランス(以下、基礎的需給)」という包括的な計数を参考にしている。
これは、経常収支、直接投資(対外・対内をネットアウトしたもの)、銀行・公的部門以外の対外証券投資、対内証券投資を合計したものから、外貨のまま海外に残る再投資収益を控除したものだ。差額がプラスならば円買い超過、マイナスならば円売り超過を意味する。ドル円相場の水準感をピンポイントで探るためのツールではないが、有力な手がかりにはなる。
実はこの基礎的需給が昨年下期(7―12月)に若干プラス方向(円買い超過)に振れた。ところが、ドル円相場は対照的に、昨年秋口以降急騰した。過去を振り返ると、円キャリー取引の拡大・縮小に大きな影響を受けた2005年から2008年の局面を除けば、基礎的需給の変化に遅行する格好でドル円相場が追随してきた印象もあり、円相場見通しを作成するにあたって、この動きは気がかりである。
むろん、すう勢としては依然、基礎的需給はマイナス(円売り超過)基調のままだ。だが、今後の対内・対外証券投資や原油価格に左右される貿易収支次第では、プラス(円買い超過)基調に転じる可能性もないとは言えない。果たして、その逆転現象は起こり、円高シフトを招くのだろうか。
<円買い傾斜の深層と持続力>
具体的に、アベノミクスを受けた円安・株高傾向が鮮明になり始めた2013年以降に絞って、基礎的需給の推移を振り返ると、2013年は上期が約13.4兆円の円買い超過だったのに対して、下期は約2.5兆円の円売り超過。2014年は上期に約9.6兆円の円売り超過に拡大した後、下期には約1.4兆円の円買い超過に戻っている。
つまり、あくまで基礎的需給上の話ではあるが、円売りに傾斜した需給環境の「底」は昨年上期というイメージになる。もう少し細かく基礎的需給の推移を構成項目別に分析すると、昨年下期の円買い傾斜をもたらしたのは、対内証券投資の拡大と経常収支(再投資収益除く)の黒字拡大であったことが分かる。 続く…
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