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奈良県内の寺社で油のような液体がかけられたとみられるシミが相次いで見つかっている事件で、奈良県警は8日、同県吉野町の世界遺産・金峯山寺(きんぷせんじ)、東南院、葛城市の当麻寺(たいまでら)、橿原市の久米寺でもシミが確認されたと発表した。
大半は、8日か、ここ数日中の被害とみられ、金峯山寺と当麻寺では国宝も含まれている。これで県内の被害は9寺社で計60か所を超え、県警は文化財保護法違反や器物損壊容疑で捜査している。
発表などによると、金峯山寺では本堂・蔵王堂(国宝)外側の柱4本と、堂内に安置されている本尊とは別の木造蔵王権現立像(重要文化財)の左ひざ、さらに、蔵王堂から約10メートル離れた観音堂の床の計6か所でシミを確認。8日午前9時半頃、巡回中の職員が被害に気づき、境内を調べて県警に被害届を出した。
同寺は「今月5日に見回った際には異常はなかった」としており、県警は、境内に設置された防犯カメラの映像分析を進める。
同寺の南東約400メートルにある同じ金峯山修験本宗の別格本山・東南院でも8日、多宝塔と護摩堂の縁側でシミを確認した。
当麻寺の被害は、本堂にある当麻曼荼羅厨子(たいままんだらずし)の須弥壇(しゅみだん)(国宝)や、講堂(重要文化財)の床など。源頼朝が寄進したと伝わる須弥壇のシミは、1・2メートルにわたり横一列に飛び散ったような形状、講堂のシミは直径約3メートルの円状だった。
久米寺では、金剛力士像など2建造物の計10か所で被害を確認した。