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舞台『デスノート』主演俳優が「正直意外」と思ったこと〈週刊朝日〉

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舞台『デスノート』主演俳優が「正直意外」と思ったこと〈週刊朝日〉

 舞台『デスノート』主演俳優が「正直意外」と思ったこと〈週刊朝日〉

 「演劇は、時代を映す鏡だ」
 
  新しいミュージカルに取り組むにあたり、柿澤勇人さんは演出家の栗山民也さんが「ハムレット」の中の一節を引用したことが、強く印象に残っているという。
 
  漫画のみならず、アニメ、映画と、どのメディアで展開しても大ヒットを記録し、アジアでも広く支持を得たコンテンツ「DEATH NOTE デスノート」がミュージカル化される。脚本と音楽を手がけるのは本場ブロードウェーのスタッフ。柿澤さんは、浦井健治さんとのダブルキャストで、主役の夜神月を演じる。
 
 「演出が栗山さんだと聞いたときは、正直意外でした。でも、栗山さんは最初のホン読みのときに、『漫画や映画がヒットしたことより、そこに描かれているテーマの深さに惹かれた』とおっしゃっていて……。そう言われて、現代社会が抱える普遍的なテーマである命の大切さや、若者が抱える鬱屈のようなものが描かれていることに、あらためて気づかされました。こういう作品に呼んでいただけたということは、演劇をやる若手として、『ちゃんと勉強して、時代を映す鏡になれよ』と、暗に伝えてくださっているのかもしれない、といいように解釈しています(笑)」
 
  07年から2年間、劇団四季に所属し、数々の作品で主役を務めてきた。大学にも進学していたため、学業と芝居の両立がどうにも難しくなり、劇団四季を退団し、7年がかりで大学を卒業。4年前にホリプロに所属してからは、舞台のみならず、ドラマや映画など、映像作品にも積極的に出演している。
 
 「四季のときは、努力すればちゃんと結果が出たというか、課題をクリアするのは得意なほうだったんです。でも今は、たとえばCMや映画のオーディションを受けにいっても、まず受からない(苦笑)。劇団のときよりも厳しいな、と思います。ハートもそんなに強いほうじゃないので、『向いてないんじゃないか』と思うこともしょっちゅうです」
 
  蜷川幸雄さんの演出を受けたのは、12年の舞台「海辺のカフカ」が初めてだった。そのときは、まったく太刀打ちができず、昨年、再演に向けての稽古では、「蜷川さんに成長したと認めてもらえなかったら、役者を辞めよう」とまで思い詰めていた。
 
 「幸いなことに、『成長したな』と言っていただけたので、『続けていいんだ』と安心しました(笑)。僕にとっては栗山さんも、自分の中にある情熱を焚き付けてくれる存在です。11年から毎年、『スリル・ミー』という舞台に呼んでいただいているんですが、稽古のときの、『よくなっているな』という言葉を、心の支えにしています。今回の『デスノート』が栗山さんとの最後の舞台にならないといいんですが(苦笑)」
 
  やる気を前面に押し出していくタイプではないが、“これ”と決めたら猪突猛進。その実力を花開かせるのは、いつも稽古であり、舞台だ。
 
 ※週刊朝日 2015年3月20日号

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