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東京電力福島第1原発事故を受け、主に東海地方に避難している人たちでつくる「原発事故被害者支えあいの会 あゆみR・P・Net」が、会員の手記を集めた本「愛する土地を離れて〜福島原発事故から4年 伝えたい想(おも)い〜」を発行した。同会代表の井川景子さん(32)=名古屋市西区=は「4年がたち、風化した感じがするが、私たちはまだ不安の中にいることを知ってほしい」と話す。
会員47人に執筆を依頼したが「思い出したくない」という人も多かった。手記投稿者は16人で、3人が写真のみを投稿した。福島県の他、東京都や埼玉、千葉県などから移転してきた人たちだ。
井川さんは、栃木県那須塩原市から広島県などに避難し、名古屋に落ち着くまでを振り返った。桜の花が咲く直前の大震災発生に「切ない思い出の桜。いつになったら心晴れ晴れと見上げられるかな。1年ずつでも心穏やかに見上げることができるといいな」と書いた。
副代表で、福島県伊達市から避難してきた岡本早苗さん(36)=名古屋市熱田区=は、移転直後は心身ともに疲れ果て「感情が無くなったような状態と、ものすごい勢いで怒り狂っている状態、幻聴が聞こえてきてそれから逃げたくて仕方ない状態、まともに会話もできず、ただひたすら死にたいと思って時間を過ごしてきた」とつづった。
2人とも、他の会員やボランティアの人たちの支えで今の生活ができている、と感謝の言葉を添えた。ともに幼い子を持つ。岡本さんは「同じ世代のお父さんやお母さんに、今の思いを伝えたかった」と語る。井川さんは「子どもたちのため、と避難を決意した。娘が大きくなった時、どんな思いで我が子を守ったのか知ってほしい」と話す。また、放射性物質の影響について「娘たちは定期的に甲状腺検査を受けているが、がんの発症は被ばくから数年後と聞く。避難時よりもさらに不安を感じているのが現状」と訴える。
A5判136ページ、1200円で、700部を作った。会は15日午後2時から、名古屋市熱田区新尾頭1の愛知県司法書士会館で「被害者による『ぶっちゃけトークライブ』〜愛する土地を離れて」を開催。会場でも本を販売する。
問い合わせは同会(070・5259・1842)。【黒尾透】