http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150214-00000037-mai-sctch
◇早大の研究チームが新装置開発に成功
事件現場に残された指紋にレーザーを照射し、反射光から指紋を読み取る新たな装置の開発に
早稲田大先進理工学部(東京)の研究チームが成功した。
現在は指紋にアルミニウム粉を付け、ゼラチン紙に転写して採取するなどの手法が一般的だが、
検出器具が指紋に触れることで、指紋に含まれるたんぱく質などを破壊してしまい
DNA型鑑定に必要な試料が得られなくなる欠点があった。
共同開発した警察庁科学警察研究所(科警研)は実証実験を始めており、2年後の実用化を目指す。
開発に成功したのは宗田(そうた)孝之教授(光物性工学)ら。2011年から開発に着手し、昨年秋に完成した。
費用は約1億円。指紋が付着した場所に専用のレーザーを当て、皮膚片から反射した光から指紋を読み取る。
現在はゼラチン紙に転写する手法のほか、薬品をかけて化学反応を起こさせ、浮かび上がった指紋を
写真撮影する手法などが用いられている。
しかし、いずれも指紋に接触するため、たんぱく質や脂肪を破壊し、DNA型鑑定の精度が下がる傾向があった。
また、現場には肉眼で確認できない指紋が残されている場合もあるが、これまでは捜査員が現場の状況や経験を頼りに
指紋が付いていそうな場所にアルミニウム粉を付けたりしていた。
新装置はレーザー照射だけで指紋に接触しないため、指紋検出とDNA型鑑定の両立が初めて可能になったうえ、
レーザーを当てた上で専用のゴーグルを着ければ指紋が見えるため、現場の証拠を漏らさず収集できるという。
また、重なり合った指紋の分離採取も可能になり、犯罪捜査の大きな武器になると期待されている。
宗田教授は「指紋が付着した素材によっては光の加減でうまくデータを読み取れない場合もあるが、
従来の技術との併用でより確実な指紋の採取が可能になる」。
科警研は「実証実験を通して課題を洗い出し、早期の導入を目指す」としている。