社会そのほか速
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東洋経済オンライン 4月11日 6時0分配信
日本の食卓に欠かせない、銀ざけの価格が年明け以降、急落している。日本は世界で最も銀ざけを消費しており、そのほとんどは、チリで養殖された輸入物である。
築地市場の月間平均取引価格は2月に1キログラム当たり676円と、2014年5月につけた最高値835円から約2割も下落。3月以降も下落傾向が続いているもようだ。
天然魚に比べて、漁獲量が安定している養殖魚は、価格が安定するはず。だが、ここ数年は、価格が乱高下する相場が続いている。
■ 東日本大震災きっかけにいったん下落
きっかけは2011年の東日本大震災までさかのぼる。水産卸各社は国産さけが足りなくなるとにらみ、チリの銀ざけを買いに走った。
しかし、震災の影響は小さかったため供給過剰となり、2012年の銀ざけ価格は、過去最安値レベルとなる1キログラム当たり300円台前半まで下がった。
ところがアベノミクスの影響で、2013年には円安が急速に進行。銀ざけの輸入価格は反転上昇を開始した。2014年春に勃発したロシアによるウクライナへの侵攻も、銀ざけ価格の上昇につながった。
「経済制裁を受けたロシアがデンマークやノルウェーから買う代わりにチリで銀ざけを買い付けている」といううわさが業界内を駆け巡り、国内勢がロシアに買い負けまいと高値発注したためだ。
だが実際には、「ロシアは通貨安で購買力が落ち、全然さけを買えていなかった」(大手商社の水産担当者)ことが判明。
水産卸が食品スーパーへの卸売価格を吊り上げたために「大手スーパーが取引量を縮小した」(別の水産商社)ことも痛手となり、昨年後半の相場は膠着状態に陥った。
膠着相場から年明けの急落へのきっかけとなったのは、今年初めの「ある商社の投げ売り」(大手荷受け)である。
築地に本社を置くこの会社は、中堅商社の担当者が独立する形で2007年に創業。信用調査会社によれば、ピークだった2014年1月期決算では、約70億円を売り上げている。
■ 水産商社が在庫を投げ売り
ただ、円安と相場の乱高下に耐えきれず、2015年1月に資金繰りに行き詰まり、在庫の投げ売りに走った。
この好機に飛びついたのがスーパーなどの流通業者だ。銀ざけの用途は大半が家庭調理用で、関東地盤の大手食品スーパーでは、3月から切り身の重さを60グラムから70グラムに増量。
値段も、20円安い100円近くに値下げしたところ、売り上げが10%以上伸びたという。
一方で頭を抱えるのは、ほんの少し前まで800円台で購入していた水産商社の担当者たち。「含み損を抱えた在庫を処分すると損失が確定するため、売るに売れない業者が多くいる」(水産商社の幹部)。
前述の大手荷受けの担当者は、「せっかく安くなっているので、皆さんにどんどん食べてほしい」とため息をつく。スーパーと水産商社が卸価格をめぐってせめぎ合う中、激しい相場変動はしばらく続きそうだ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150411-00065293-toyo-bus_all
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