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福岡市などで震度6弱を記録し1万棟近くが損壊した福岡沖玄界地震の発生から20日、10年を迎え、玄界島(福岡市西区)では避難訓練があった。年月の経過とともに危機意識の低下も懸念されるが、震源の警固断層帯や周辺の活断層について、専門家は「いつ動いてもおかしくはない」と警鐘を鳴らす。
【断層が動いた】長野北部地震でも
福岡県によると、福岡市内を斜めに走る警固断層帯は、海側が約25キロ、陸側が福岡市中央区から福岡県筑紫野市までの約27キロとみられる。玄界地震で動いたのは海側だけだったが、陸側が動いた場合、県は最大でマグニチュード(M)7.2、震度7の地震を想定。福岡市直下型となるため死者約1180人、負傷者約2万2510人と推計している。
西南学院大の磯望(いそのぞみ)教授(自然地理学)によると、最近の研究で警固断層帯の陸側は少なくとも8000年前後で1回動くと確認されているが、約8000~9000年間明瞭には動いておらず、さらに玄界地震でひずみがたまっている状態で「いつ動いても不思議ではない」と話す。
福岡市も対策は実施している。2008年の条例改正で、西鉄天神大牟田線沿線などの警固断層帯上で20メートルを超す建物を新築する場合、耐震強度を通常の1.25倍にするよう定めた。だが罰則がなく努力義務のため、これまで市が建築確認した177件のうち強度を満たすのは53件と約3割にとどまる。
国の法改正に伴い13年11月からは、一定規模の百貨店やホテル、病院などは、今年末までに耐震診断を終えて報告するよう義務付けられた。しかし、市内で終えたのはまだ半分弱だ。
磯教授によると、警固断層帯だけでなく、福岡県北部の西山断層帯(宗像市沖~同県朝倉市付近の約110キロ)も最大でM8.2の地震が発生する恐れがある。活動周期や直近の活動時期が不明確で、近い将来の地震発生も否定できないという。
また、文部科学省が公表している地震発生確率では、熊本県の日奈久(ひなぐ)断層帯(八代海区間)は30年内に最大16%と全国で最も高い。磯教授は「行政は公共施設の耐震工事や避難者対策を整え、市民も住宅の耐震補強や家具の固定などを急ぐべきだ」と呼びかけている。【吉川雄策、下原知広】