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インターネットの資料などを引き写す「コピペ」(コピー・アンド・ペースト)の防止など、大学生への論文指導の必要性が指摘されている。
STAP細胞の論文問題を受け、学生の関心も高まっているが、指導する側からは、著作権法で認められる引用を行うことに加え、「自分の意見をしっかり持つことが大切」との指摘が目立つ。
横浜市の慶応大日吉キャンパスでは、論文やリポートの書き方に悩む1、2年生を対象に、上級生や大学院生らが図書館で相談に応じる。新年度に入り相談件数は例年並みだが、「これはコピペになりますか」といった質問が増え、引用方法を確認する学生が目立つという。
慶大では2008年度から、論文技術の授業を受講した学生や大学院生約20人を相談員に任命している。「STAP細胞の論文問題で、『正しいルールを身につけないと大変なことになる』という意識が学生に広まった」と、相談員で法学部4年の辛宇華さん(21)。卒業生で現在は東大大学院生の渡辺めぐみさん(24)は「自分の意見を持って論文を書くことが、コピペ防止にもつながる」と助言している。
学生による論文指導は各大学に広がっており、早稲田大も04年「ライティング・センター」を設置。研修を受けた大学院生らが希望者の相談に応じ、昨年は約4000人が利用した。
論文の盗用検知ソフトも注目されている。米アイパラダイムズ社の日本代理店によると、現在東京大や大阪大、早大など13大学が同社のソフトを使用。ほかに約10校が導入を検討中という。
ただし、チェックできる論文数は無制限ではなく、契約ごとに上限がある。東京都調布市の電気通信大は今年2月、年間1000本までの契約で運用を始めた。対象は大学院生以上の論文で、科学雑誌などに投稿する前の確認として使っている。「学部生の提出物まではチェックできない。日常的な論文指導が最も重要であることに変わりはない」と、同大の三橋渉理事は強調している。
徳島大で論文の書き方を指導する山口裕之准教授(43)は、ネットの文章を丸写しした新入生を注意したところ、「一生懸命調べてきたのに、なぜダメなんですか?」と困惑された経験が何度もある。
学生の話から浮かび上がったのが、小中高校の「調べ学習」の影響だ。「ネットで『答え』を探してまとめればよいと勘違いしてしまったのでは」と推測する。
山口准教授は昨年、「コピペと言われないレポートの書き方教室」(新曜社)を出版。文献などの出所を明示した「引用」とコピペの違い、信頼できる情報源の探し方、「根拠を基に意見を主張する」大切さを説いた。STAP細胞の論文問題で、「正しい論文の書き方を身につけようという意識が浸透すれば」と話す。
大阪大では今年度、全新入生に「論文入門」の小冊子、教員には指導マニュアルを配布した。以前から計画していたものだが、担当した堀一成准教授(47)は「大学全体で論文の技術的指導を行う時期に来ている」と指摘した。(伊藤史彦)