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企業などと緊密に連携し、実践的な職業教育を行う専門学校の学科を文部科学省が「職業実践専門課程」として認定する制度が、今年度から始まった。
国の「お墨付き」を得たのは全国の1373学科(472校)。専門学校にとっては、学生募集の際にアピールできる反面、中退者数などの公表が義務づけられ、教育水準の向上が期待されている。
情報技術(IT)などの12学科が「職業実践専門課程」に認定された日本工学院八王子専門学校(東京都)。昨年8月、太陽光や風力による発電装置を備えた省エネ住宅「スマートハウス実習棟」を敷地内に建てた。
実習棟には、連携する住宅メーカー「ヤマダ・エスバイエルホーム」(大阪市)の協力で、太陽光パネルなどのほか、電気自動車を充電し、車から電気を家屋に送れる設備や、エアコンや照明を自動的に節電する制御装置もある。
「近い将来に普及するであろう最先端の技術に接することができる」と、同社設計技術統括部の藤本和典さん。同社の社員らが教員研修や、学生たちへの技術指導を行うこともある。
6月中旬の授業では、学生たちが実習棟の脇で、屋根を模した板に太陽光パネルを設置する作業に取り組んでいた。
同校では今年度、入学希望者の保護者説明会を開く際、専門課程に認定されたことを強調した。「これまでも産業界で通用する即戦力を養成してきた自負はある。国の『お墨付き』を得たことで、実践的な教育をさらにアピールしたい」と千葉茂校長は話す。
今回認定されたのは、全国の専門学校8128学科(2811校、昨年5月現在)の約17%にあたる1373学科。その一方で、30学科は申請したものの、連携先を確保できなかったなどの理由で取り下げたという。
文科省によると、新制度は職業教育の水準向上を目的に導入され、企業などと連携し、カリキュラムの編成や実習、教員研修を実施することなどが認定要件となっている。
学校と企業でつくる各校の「教育課程編成委員会」では、連携先の企業などが授業改善を求める意見を述べるケースもある。
日本福祉教育専門学校(東京都)の介護福祉学科などと連携する障害者支援施設「雑司谷(ぞうしがや)」(同)の肥後義道施設長は、「受け入れている実習生のマナーなど、気になった点を積極的に学校側に伝えている」と話す。学校側も「専門家から率直な意見をいただき、できるものから授業改善につなげていきたい」と受け止める。
また、認定を受けると、教員数や学生の中退者数、主な実習内容などをホームページに公開しなければならない。学生が専門学校を選ぶ際の判断材料になり、「教育内容をより一層高めるきっかけにしてほしい」と文科省専修学校教育振興室の担当者は話す。
政策研究大学院大の今野雅裕教授(教育政策)は「専門学校は、学校間で教育内容の質に差があるとされる。制度を生かし、専門学校全体の教育水準を上げることが大切だ」と指摘している。(渡辺光彦)