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ミレーの「種をまく人」を所蔵することで知られる甲府市の山梨県立美術館で、市立新田(しんでん)小学校の6年生が、来館者に作品を解説する「ギャラリートーク」に取り組んでいる。
絵から受けた感動などを言葉で伝えることを通じ、考える力や能動的に学ぶ力を養うのが狙いだ。
活動が始まったのは2009年度。新田小が、徒歩5分の距離にある同館に「子どもたちに本物の芸術に触れながら学ばせてやりたい」と要請し、同館も協力を快諾した。
今年度、活動に参加した児童は38人。2、3人のグループに分かれ、「種をまく人」など西洋画17点を受け持った。
19世紀のフランス人画家、シャルル・エミール・ジャックの油絵「森の中の羊の群れ」を担当したのは、本広葵さん(12)ら3人。本広さんは6月、初めてじっくり見た時、「絵の真ん中の羊に目が行くのはなぜ?」と疑問に思った。
学芸員の小坂井(こざかい)玲さん(31)から話を聞くうち、その部分だけ明るい色で描かれていることが分かった。
学校では、担任の清水宏次教諭(44)の指導で、図書室で本を探し、画家の生涯などを調べた。小坂井さんやメンバーと相談しながら、調べたことを盛り込んだ解説文を作り、暗記の練習を繰り返した。
本番の10月31日、絵のそばに立った本広さんが「太陽の光が中央の羊に当たっているのかもしれません。皆さんはどう思いますか」と説明すると、来館者もうなずきながら聞いていた。
本広さんは「大きな声で相手の顔を見ながら話した。絵を詳しく学べて良かった」と喜んでいた。清水教諭も「夏休みに美術館を訪れ、作品について勉強した子もいた。活動をきっかけに、美術への関心も高まっているようだ」と手応えを感じている。
小中学生や高校生によるギャラリートークは、国立西洋美術館(東京都)も実践しているが、全国的には珍しい。子どもを対象とした教育活動に力を入れる府中市美術館(同)の武居利史学芸員(46)は「自分で感じたことを言葉にすることで、作品に対する理解も深まる。各地で学校と美術館の連携が広まってほしい」と話している。(甲府支局 渡辺友理)