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職員が抽選器の取っ手をぐるりと回すと、番号を記された球がこぼれ落ちた。
昨年10月、東京都杉並区役所で開かれた学校選択制の公開抽選会。同じ番号の紙を持つ「当選者」がほっとした表情を浮かべた。
区は2002年度、住んでいる学区に加え、隣接学区の小中学校を選べる選択制を導入したが、16年度入学生からの廃止を決定。選択制最後となる今回、学区外からの入学は1校あたり最大20人に限定し、区立小中64校のうち9校が抽選になった。
水島史子さん(38)は、新1年生になる長男(6)の就学先に、住んでいる学区の隣にある小学校を希望し、33人中20人の当選者に入った。小学4年生の長女(10)も保育園の時の友人の多くと一緒に同小で学ぶ。「友人関係を大事にしたかった。地元の学校しかダメというのではなく、それぞれの事情も考慮してほしい」
隣接学区の学校を希望した今春の新1年生は、小学校が15%の541人、中学校は24%の795人。「落選」した子どもは、居住する学区の学校に入学することになる。16年度以降は、志望理由を文書で提出し、区教委の審査で認められた場合などを除いて、居住学区外の学校に入学できない。
保護者らに根強い人気がある選択制だが、区教委が11年に小中学校の校長やPTA会長ら約200人を対象に実施した調査では、選択制の廃止や見直しを求める意見が7割を超えた。廃止を求める理由では、「地域とともに学校をつくるため」が最も多かった。
区は10年から全校で小中一貫教育に力を入れ、小学生が中学校で授業を受ける訪問授業や部活動の体験参加などを実施。今春には区内で初めて、施設一体型の小中一貫校・杉並和泉学園が誕生する。
小学校2校と統合されて同学園になる和泉中は、選択制導入前の01年度に301人だった生徒数が、現在は68人。全学年1クラスしかない。PTA会長の久保田知子さん(48)は「家の近くに学校があってこそ行き来が多くなり、関係が深まる」と今春以後の生徒数増加に期待する。
区内では新中学1年生の4割弱が私立や国立に行く。選択制導入前後でその割合は変わっていない。区教委の植田敏郎学務課長は「今後は、公立にしかできない、地域との連携を強め、小中一貫教育を進めたい」と語った。
次回は、選択制で生徒数が減少した学校の特色づくりをし、回復させた自治体を紹介する。