社会そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
エリート教育で知られる英国イートン校をモデルに、開校9年目を迎えた中高一貫の全寮制男子校「海陽中等教育学校」(愛知県蒲郡市)。「次代のリーダー」を育成する教育が続く。
JR名古屋駅から電車で約1時間。東京ドーム2.8個分の13万平方メートルの敷地に教室棟、ハウスと呼ばれる寮12棟、教職員宿舎などが点在する。2006年、トヨタ自動車、JR東海、中部電力など約80企業が約200億円を寄付して設立した。
1~6年(中1~高3)の約700人が学ぶ。英数国の授業時間は公立学校の倍。毎晩2時間の夜間学習は教員が指導し、週末には著名人の特別講義や、バーベキューなど寮ごとのハウス行事もある。寮には企業から派遣された20代の独身社員が兄代わりのフロアマスターとして住み込み、生活指導にあたる。
生徒は全国から集まる。全生徒が1日3回そろう食堂で、鹿児島県・屋久島出身の1年生、市地福太郎君(12)は「特別講義や寮生活が充実している」。
これまでに1~3期生298人が卒業し、計25人が東大に現役合格した。海外を選ぶ生徒もおり、2期生梅原進吾さん(20)は米国の名門、ウェズリアン大2年生。「集中して勉強や課外活動ができた。自ら行動を起こす大切さも学んだ」
一方、1期生は約20人が途中で転校していった。寮にはスマートフォンなどを持ち込めない。「閉鎖的」との声もあり、開校当初、原則禁止だった1~3年生の外出を、優秀な生徒について認めるなど一部の規則が緩和された。
授業料や寮費、食費などの経費は年間約280万円に上り、開校2年目以降4年連続で受験者数が減少。6年分の経費を全額免除する特別給費生(約20人)を11年度入試で新設したところ、約15倍の狭き門に。全体の受験者数も増えた。
「基礎学力と人間力をバランスよく育み、次代のリーダーにしたい」と中島尚正校長(73)。卒業生が社会でどんな活躍を見せるのか、注目だ。(石井正博)
生徒全員が寮で共同生活を送りながら学ぶ全寮制は、学力のほか、独立心や協調性が育つとして、埼玉県川越市の秀明中学・高校などが実施している。来年4月には鹿児島県肝付町に全寮制男子校の県立楠隼(なんしゅん)中学・高校が開校予定。「教育ルネサンス」では、「エリート養成」(2006年4月)で開校直前の海陽中等教育学校の様子を紹介するなどした。