社会そのほか速
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ランニングブームが続く2015年の日本。長距離レースの舞台は、硬い舗装路やトラックだけではない。街を飛び出し、山・森・海といった自然の中を本能のままに駆け回るランナーが増えている。そうした「ワイルド」な大会に記者自身が参加し、その熱気と魅力を伝えたい。第2回は泳ぐ、こぐ、走ると3種目をこなすトライアスロンのデビュー戦。
スイムスタート直後は選手同士が激しく接触する(静岡県磐田市)
「右呼吸も習得すべきだった」――。水面から顔を出し、激しく後悔していた。ふと泳ぐ手を休めて右前方を見ると、一緒に泳いでいたはずの選手の集団が20メートル程離れて違う方向に進んでいる。正しい方向に進んでいるのは集団の方だ。私は1人、左にそれてあさっての方に向かっていた。
■道しるべのない海を蛇行
初めてのトライアスロン。第1種目、水泳のコースは海沿いの湖を時計回りに一周する1キロだ。クロールで腕を回して進むが、記者は左向きでしか呼吸をしないため、視界が左半分に限られる。右側、つまりコースの内側が全く見えず、気づかぬうちに1人アウトコースに大きく膨らんでいたわけだ。あわてて進路を右に変え、集団に合流する。しかし、少し泳ぐとまた左に曲がっている。再び右に戻る。この繰り返しだ。
泳いだ直後、自転車が置いてあるトランジションエリアまではだしで走る(磐田市)
無駄なジグザグ移動を繰り返しながら思った。プールは何と恵まれた環境か。透き通った水なら顔をつけてもまわりが見通せるし、コースロープをたどれば真っすぐ泳げる。道しるべもない濁った水の中を泳ぐことが、これほど難しいとは……。
振り返ること3カ月。「元水泳部ならトライアスロンいけるんじゃないか」という友人の一言で、私の挑戦が決まった。水泳、自転車、ランニングを連続して行い、「鉄人レース」という異名を持つ過酷な競技だ。興味がなかったわけではないが、この競技を始めるには2つの大きなハードルがある。
1つ目が水泳。自転車やランニングは少し練習すれば、ある程度の完走可能なペースで進めるようになるが、水泳だとそうはいかない。泳力不足だと死亡事故につながりかねない、というのは大げさではない。その点、私は中学・高校で水泳部に所属していたため、遠泳に関しては幾ばくかの経験と自信があった。