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建設工事の遅れに財政難、スポンサー不足…。ドタバタ続きの韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪にまたもや問題が持ち上がった。2018年2月の開幕が迫るなか、韓国の市民団体が、日本の長野を含む他都市での「分散開催」を要求、いったん収まった話を再燃させたのだ。国家の威信をかけたイベントがこれだけもめるのも珍しい。朴槿恵(パク・クネ)大統領が出口の見えない袋小路にハマッている。
韓国・聯合ニュースなどによると、複数の市民団体や環境団体などで構成される「平昌冬季五輪分散開催を要求する市民の会」が12日、ソウル市内で記者会見を開いた。
出席者は「分散開催で最低でも8400億ウォン(約924億円)、最大で1兆ウォン(約1100億円)の血税を節約できる」と主張。一部種目を韓国内の別の地域にあるスキー場やスケート場で開くよう求めた。市民団体は、1998年の冬季五輪開催地である長野や、北朝鮮東部の馬息嶺(マシンニョン)スキー場での分散開催案も提示し、「(単独での)五輪誘致が開催国の環境破壊や財政破綻を招く」などと政府に迫ったという。
分散開催案は昨年末にも浮上したが、朴大統領が「競技場の工事が進行中で議論は無意味」と一蹴。国際オリンピック委員会(IOC)も今年1月、「議論の余地はない」と否定していた。
ただ、今回の会見によって、五輪開催による巨額の財政負担への根強い反発があることが改めて浮き彫りになった格好だ。
『ディス・イズ・コリア』(産経新聞出版)がベストセラーのジャーナリスト、室谷克実氏は、「韓国は体面を重んじるお国柄だけに、ここまで来て日本に泣きついてくるとは考えにくい。国内での分散開催に踏み切る可能性はあるが、いずれにしても朴政権に残された道はただ1つ。苦しくても他国に頼らず自力でやるしかないということだ」と指摘する。
スポンサー不足もあって窮地に立つ平昌五輪だが、悪いことは重なる。
「イスラム教スンニ派過激組織『イスラム国』の問題などで、テロの脅威が顕在化している。五輪はテロの標的になりやすいだけに、安全対策への予算上積みが予想される。今後、朴政権は、さらに苦しい立場に追いやられることになるだろう」(室谷氏)
行くも地獄、戻るも地獄-。これが朴政権の偽らざる本音か。2015/3/17 16:56 更新