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阪神大震災20年 子に伝える

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阪神大震災20年 子に伝える

 大きな揺れで目が覚めた。阪神大震災が発生した20年前の1月17日。当時は、高校1年生だった。

  神戸市西区の木造2階建て。近藤裕子さん(36)が、父母の寝室に行くと母が倒れていた。父は119番。近藤さんは保健体育の授業を思い出し、必死で心臓マッサージを続けた。しかし、母は助からなかった。深い悲しみの中、近所の人が、おにぎりを手に励ましてくれた。

  2011年に結婚。現在、同市東灘区で暮らす。1月17日は、慰霊の催しが開かれる東遊園地(神戸市中央区)に毎年足を運ぶ。母を思う一方、様々な支えを受けたことに感謝してきた。同じように親を亡くした人と語り合い、癒やされたこともあった。

  公園で遊ぶ長男の稟太朗(りんたろう)君(1)を見ながら思う。

  「自分は人に支えられて、大災害に立ち向かうことができた。困っている人がいたら進んで動いて、その姿を息子に伝えたい」

母を亡くした近藤さん

 

  • 【35歳】 稟太朗君(左)を目で追いながら、「優しい心を持って育ってほしい」と願う近藤裕子さん。あの日43歳で亡くなった母のためにも(昨年11月18日、神戸市東灘区で)
  •  

    • 併願した高校に合格したときに母が書いてくれたメモ。いつもそばに置き大切にしている

       

      • 【15歳】 震災前年の正月に写した母(左)との記念写真。二人で写る最後の写真となった(近藤さん提供)

         

          

         

          

          東京都西東京市の出村宏志さん(45)は、兵庫県西宮市で自宅アパートの下敷きになり、9時間後に救出された。「今考えても、よく助かった」と振り返る。しばらく挫滅症候群(クラッシュシンドローム)で、左半身が動かなかった。震災から2年後に結婚した優美子さん(46)に励まされ、リハビリに取り組んだ。

          現在は、IT企業の技術者。日常生活では、ほとんど影響を感じないまでに回復した。

          長男、創太郎君(12)は今年、中学生になる。「死んでいたかもしれない自分が社会復帰し、結婚して子供もできた。体験を伝え、どんなことがあっても生きることをあきらめてはならない、と教えたい」

          写真と文 守屋由子

        家の下敷きになった 出村さん

         

        • 出村さんが被災した兵庫県西宮市弓場町一帯は軒並み、家屋が倒壊した(1995年1月、西宮市提供)

           

          • 【26歳】 優美子さん(左)に不自由な左手をマッサージしてもらう出村さん。救出後、クラッシュシンドロームの影響は深刻で、連日人工透析を受け、胆のうを摘出、脳梗塞にもなり一時は目がみえなくなった(1995年10月、兵庫県尼崎市の関西労災病院で)

             

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