社会そのほか速
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何これ?
真っ暗な海の中で、ライトに照らされた先に現(あらわ)れた謎(なぞ)の生物。名前を「ウミサボテン」と言います。クラゲやサンゴと同じ仲間の刺胞(しほう)動物です。みなさんが夏に行く、海水浴場にも生息していて、この個体(こたい)も、ある海水浴場で採集(さいしゅう)したものです。
でもなぜ、あまり知られていないのか――。それは、夜行性だからなんです。夜間は40センチを超えるほど伸長(しんちょう)しますが、日中は10センチ以下に縮(ちぢ)んで砂(すな)の中に隠(かく)れてしまい、見つけられることはほとんどありません。
鳥羽水族館でも昨年の夏、ウミサボテンの展示(てんじ)を試みたのですが、夜行性である彼(かれ)らを開館している昼間にどうやったら見てもらえるか……。担当(たんとう)である私は頭を悩(なや)ませた末、あることを思いつきました。ウミサボテンの「体内時計」を狂(くる)わせたら、開館中に伸びてくれるのではないか。早速、水槽(すいそう)の照明を昼夜逆転(ぎゃくてん)したところ、なんと2日後には開館中にニョキニョキと伸びてきたのです。ちょっとしたひらめきが、功(こう)を奏(そう)すこともあるのですね。
※文・写真とも飼育(しいく)研究部の辻晴仁(つじはるひと)さん