社会そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
道内に生息するヒグマが、100年以上前と比べて肉を食べる割合が減り草食化していることを、北海道大学の森本淳子准教授(森林生態系管理学)らのグループが突き止め、英国の科学雑誌に掲載された。明治、大正期の開発により、動物性の餌を摂取する機会が減った可能性があるという。森本准教授は「現在の道内のヒグマは栄養を補給するために、農地などに出没する機会が増えることも考えられる」としている。
グループは、ヒグマの骨などにわずかに含まれる元素の割合を調べる安定同位体分析という手法で食性を推測。道南と、知床を含む道東のヒグマ343頭を対象に、道内の開発が始まる1920年以前と、開発初期の31~42年、開発を終えた後の96年以降に3分類し、骨などに含まれる炭素や窒素、硫黄を調べた。
この結果、20年以前よりも96年以降のヒグマは明らかに肉を食べる割合が減っていることが判明した。
道南では陸上動物(昆虫を含む)を食べる割合が55・8%から5・2%、道東で64・1%から8・4%に減少。サケを食べる割合も道南で3・2%から0%、道東で18・7%から8・2%に減っていた。アラスカのヒグマは約30%の餌がサケといい、道内のヒグマの草食化は顕著という。
森本准教授は「草食傾向を示す個体が増えている詳しい原因は不明だが、河口部での漁業や開発のため、サケが取りにくくなったほか、オオカミの絶滅で、死んだり弱ったりしたシカに遭遇する機会が減ったことが推測される」と分析している。