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元国際通貨基金(IMF)副専務理事で国際金融情報センターの加藤隆俊理事長が30日、毎日新聞の取材に応じ、アジアインフラ投資銀行(AIIB)について「参加する決断をするだけの材料がまだない」と述べ、参加に慎重な日米の姿勢に理解を示した。一問一答は以下の通り。
【聞き手・小倉祥徳、竹地広憲】
−−日本はAIIBに参加すべきか。
◆AIIBがこれからどう育っていくのか、見極めた上で判断することが必要だ。参加を表明した欧州の立場は、ビジネスの上で「とりあえず座席を確保しておく」ということではないか。日米はアジア開発銀行(ADB)の最大の株主であり、安全保障や外交なども計算に入れた上で慎重に判断するのは当然だ。まだ「入る」と決断するだけの材料はないのではないか。
−−AIIBの問題点は何か。
◆ADBの場合は必要であれば教育や医療も融資対象にする。AIIBはインフラ投資の一本足打法。ADBのように、借り入れ国と経済開発戦略を含めて必要な対話をする仕組みを取るだろうか。中国の安全保障上重要な港や飛行場などの整備にAIIBの資金が使われるとすれば、日米にとって利益の合わない相手に塩を送ることにもなりかねない。
−−参加を見送ることで日中関係や日本のビジネスに影響は。
◆もともと日中関係は複雑で、参加すれば関係が改善するという次元の問題ではない。そもそもインフラ投資に(コスト競争で中韓勢に押される)日本企業は十分には参入できない。ビジネスへの影響が全くないとは言えないが、参加しないことで致命的なマイナスになることもない。
−−米国主導のG7の協調体制が崩壊した。
◆ほころびが出たということはその通りだ。G20で合意したIMF改革が進まず、今後開発金融機関が何を主眼にするのかも十分答えが出ていない。こうしたタイミングに中国が今回の構想を効果的に打ち上げた。
−−日米の戦略ミスを指摘する声もある。
◆今回の構想に対して、参加する国がここまで広がることは想定を超えるものだった。中国が急速に経済面で力を付けたことも否定できず、今回はそれを示したともいえる。
−−(米国主導でIMFや世界銀行の枠組みが決まった)ブレトンウッズ体制後の国際金融体制は大きな節目を迎えたのか。
◆そう言えるかどうかは、AIIBが目的をきちんと達成できるかどうかによる。IMFやADBで資金基盤が増やせないので、「ではAIIBを」という中国の言い分はもっともな面もある。鳴り物入りでAIIBが発足することで、資金基盤をどれだけ広げられるかが試される。