社会そのほか速
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20万点以上の焼き物が並ぶ「全国陶器まつり」が21日、稲沢市の国府宮(こうのみや)神社の参道で始まった。29日まで。
陶器の魅力を知ってもらうとともに、購入者の好みを把握して作品作りに役立てようと、全国陶器まつり振興会(名古屋市中村区)が主催。常滑焼をはじめ、沖縄・読谷(よみたん)焼、佐賀・有田焼、岡山・備前焼、滋賀・信楽(しがらき)焼など全国8産地の銘品をそろえた。
会場には、100円の皿や小鉢といったお買い得品もあれば、250万円という高価なつぼも見られる。市場価格の3~5割安といい、訪れた人たちは「これ安いね」などと言いながら買い求めていた。
同振興会の若林義治代表は「店主らと値段交渉をする『値切り』も醍醐(だいご)味の一つ」と来場を呼びかけている。午前10時~午後6時(最終日は午後4時まで)。入場無料で、無料駐車場もある。問い合わせは同振興会(090・2453・0945か052・551・0917)。
働き盛りの乳牛が起立不能になり、搾乳ができなくなる低カルシウム血症を簡単に診断できるシステムを帯広畜産大の伊藤めぐみ助教(42)(獣医学)と道立総合研究機構、酪農学園大の研究班が開発した。起立不能による道内酪農家の経済損失は年間約60億円に上る。同症は起立不能の原因の約6割を占めており、実用化されれば酪農家の支えになりそうだ。
伊藤助教によると、道内では年間、出産前後の乳牛約4万頭が起立不能に陥り、そのうち約4000頭が死亡している。伊藤助教は、生乳生産量の低下や治療代、乳牛の調達コストなどから損失額を道内だけで年60億円と推計した。
同症では、ふらつきや食欲低下などの兆候はあるものの、「起立不能となる乳牛と、ならない個体の違いは見ただけでは事前にはわからない」(伊藤助教)という。伊藤助教らは、2013年度から総務省の委託を受け、低コストで素早く診断する技術の研究開発に着手。道内各地の乳牛約900頭から採血するなどし、血中カルシウム濃度が低下すると心電図の波形に特有のパターンが表れることを見いだした。
この原理を利用し、無線式の心電計を乳牛に装着、タブレット端末のアプリで心電図の波形を分析して血中のカルシウム濃度を30秒程度で高精度に推定するシステムを開発した。従来は、乳牛から採血し、100万円以上する機器で分析したり、専門施設に送ったりする必要があった。
伊藤助教は既に動物用医療機器メーカーと話し合いを進めている。早期に、獣医向けの機器を低価格で実用化したいとしており、「起立不能を予防できるようになれば、酪農家にとっては大きな利益になる」と期待している。
「愛・地球博(愛知万博)開幕10年」をメインテーマに、愛知県長久手市の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で21日、「春まつり」が始まり、大勢の人出でにぎわった=写真、中根新太郎撮影=。会場では、当時のイベントやパビリオン内の映像が流され、当時掲示されたポスターの展示も行われた。訪れた人たちは「万博期間中」さながらにステージで繰り広げられる世界の音楽やダンスなどを楽しんでいた。まつりは22日まで。
◇70代女性 犯行6回・・・実刑
県内で高齢者の万引きが増えている。県警が摘発した60歳以上による万引き事件は2013年、386件に上り、10年前と比べ37%増加した。背景に、「高齢者の孤立化」を指摘する専門家もいる。過去に逮捕された和歌山市の70歳代の女性に理由を聞いた。(星研介)
「今思うと本当にばかなことをしました」。白髪交じりの小柄な女性は後悔の言葉を口にした。6畳のワンルームマンションで独り暮らし。「人様への迷惑を考えていませんでした」
女性は神戸市の百貨店の紳士服売り場担当として定年まで勤め上げ、「ずっとお金に困ったことはなかった」と言う。
暗転したのは定年後。「一緒に洋服屋を開こう」と誘われた同世代の出入り業者に退職金と貯金約500万円を託し、足りない分は借金した。「結婚せず、親の介護をやりきった。次は自分の人生を歩もうと思った」。しかし、開業話は進まず、業者の男性とはやがて連絡が取れなくなった。約100万円の借金が残った。友人らは阪神大震災で転居したため疎遠になっており、相談相手はいなかった。
そんな頃、「食費を浮かそう」と魔が差し、初めて万引きをした。当時住んでいた兵庫県内のスーパーで、周囲の目を気にしながら、おにぎりなど1000円分を手提げかばんにしのばせた。店を出た所で、警備員に「おばあちゃん、分かるよね」と肩をたたかれた。しかし、その日は店長から注意を受けただけで済んだ。「二度とすまいと誓ったんですが……」
2年後、同じ店で食品約1000円分を万引きした。今度は見つからず、やめられなくなった。雑誌やかばんも盗むようになった。5回目の犯行で逮捕された。窃盗罪で略式起訴され、罰金刑を受けたが、約3年後の11年秋、6回目の犯行で再び逮捕。懲役1年の実刑判決を受けた。
女性は13年に和歌山刑務所を出所後、行政の支援を受けながら、社会復帰を目指している。自己破産し、借金は帳消しになった。ノートにびっしりとレシートを貼って家計簿をつけ、月約10万円の年金をやりくりする。散歩やテレビが楽しみという。「残り少ない人生、静かに暮らし、やり直したい」。女性はそう語った。
◇地域で啓発 抑止へ
万引きの疑いで逮捕されたり、任意で取り調べを受けたりした件数は減少傾向にあるが、高齢者では増加している。
県警によると、2013年は830件と03年から90件減った。しかし、このうち60歳以上(386件)は全体の47%を占め、03年の31%から大幅にアップした。警察庁によると、全国でも高齢者の万引きは全体の25%(04年)から41%(13年)に上昇した。
刑務所を訪問し、服役者の心理分析をする東京未来大(東京)の出口保行教授(犯罪心理学)は「高齢万引き犯の増加には、地域から孤立した独居高齢者の増加が影響している」とし、「家族や友人ら周囲とのつながりが薄い人は、犯罪をすれば社会的な地位を失うというリスクを軽視する傾向がある」と指摘、予防策の必要性を訴える。
県警は、スーパーへの防犯カメラの普及など抑止対策を進める一方、警察官による独居老人宅への訪問にも力を入れる。県警生活安全企画課は「地域との関係が薄い高齢者を啓発することで抑止につなげたい」とする。
◇フキノトウ並ぶ
大野市で400年以上続く七間(しちけん)朝市の今年の市が春分の日の21日、始まった。新鮮な野菜や山菜を品定めする市民らでにぎわった。朝市は12月31日まで毎日午前7~11時に行われる。
市中心部の七間通りに約30軒が出店。収穫したばかりの白菜やニンジン、フキノトウや梅の花などが並んだ。初日のこの日は、商売繁盛を祈願する神事や中学生によるブラスバンド演奏、招福餅まきもあった。
友人3人と訪れた越前町の主婦為国とよこさん(65)は「野菜が新鮮で安いのでたくさん買った。春が来たなあと晴れ晴れした気持ち」と喜び、売り手の中村美智子さん(76)も「調理の仕方を教えたり、教わったりと会話が朝市の楽しいところ。毎朝早いけれど頑張らなくちゃ」と話していた。
雪深い同市では、冬の間休みだった越前大野城や、城下町を巡る人力車もこの日、始まり、春の訪れを感じさせていた。