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◇東京講演会 遺産登録訴え
東京・神田駿河台の明治大リバティホールで14日に開かれた、世界遺産登録を目指す「飛鳥・藤原」の東京講演会「世界に伝えたい『飛鳥・藤原』の魅力」(読売新聞社共催)では、同大学の居駒永幸教授(古代文学)や奈良県立大の田辺征夫特任教授(考古学)らが当時の思想や古墳、遺跡などの見所を紹介。参加した約500人が聞き入った。(岡田英也、早川保夫)
居駒教授は「飛鳥万葉とは何か」をテーマに講演。舒明天皇から持統天皇の時代に詠まれた歌「飛鳥万葉」に、皇位を代々継承していく「日継(ひつぎ)」の思想が組み込まれていると指摘し、考古学の分野だけでなく「『飛鳥・藤原』の歴史は、万葉集などの言語文化とともに再認識すべき」と強調した。
田辺特任教授は、舒明天皇の飛鳥岡本宮や、皇極天皇の飛鳥板蓋(いたぶき)宮など、四つの宮殿が同じ場所に重複していると判明したことなど近年の研究成果を披露。神奈川県厚木市の遠山真司さん(69)は「数十年の間に格段に当時の様子をうかがえる成果が出ており、今後も新発見が相次ぐはず」と期待していた。
関口和哉・読売新聞大阪本社編集委員司会のトークセッションでは、明治大の吉村武彦教授(古代史)、マンガ家の里中満智子さんも加わって、「飛鳥・藤原」の魅力や世界遺産登録の課題について議論。里中さんは「遺跡は土の中に埋もれているため、諸外国に理解してもらうのは難しい。遠慮がちなアピールでは世界に伝わらない」と訴えた。
埼玉県川口市から訪れた主婦古俣京子さん(74)は「日本が国家としての歩みを進める歴史が知られる飛鳥や藤原の魅力の深さに気づかされた。現地を見てわかることも多く、また訪れたい」と語った。里中さんのファンという群馬県伊勢崎市の主婦、藤井秀子さん(69)は「講演を聞いて、ますます飛鳥に行きたくなった。群馬でも富岡製糸場が世界遺産になったので飛鳥・藤原も応援したい」と話した。
東山区の泉涌寺で14日、釈迦が入滅する様子を描いた国内最大とされる涅槃(ねはん)図(縦16メートル、横8メートル)の公開が始まった。16日まで。
涅槃図は江戸中期の作。横たわる釈迦の周囲で弟子らが悲しむ様子が描かれ、毎年、釈迦の命日(旧暦2月15日)前後に仏殿(重要文化財)で公開されている。
この日、参拝者らは天井まで届く絵を見上げ、静かに手を合わせていた。姫路市の会社員鷲尾郁代さん(59)は「今まで見た涅槃図で一番スケールが大きい。お釈迦様のいる世界に引き込まれそう」と見入っていた。
午前9時~午後4時30分。拝観料500円。15日は午前10時から涅槃会法要が営まれる。問い合わせは同寺(075・561・1551)。
札幌市月寒体育館で始まったカーリング・女子世界選手権。日本代表の北海道銀行は昨年のソチ五輪で5位入賞後、新体制でチーム強化を図った。今季の集大成となる大会の初戦は、格上のスイスに3―5で敗れたが、新加入選手2人は伸び伸びとしたプレーでチームに貢献した。
ソチ五輪後の昨春、苫米地美智子(35)、吉田知那美(23)両選手がチームを離れ、新たにリードの近江谷杏菜選手(25)、サードの吉村紗也香選手(23)が加入した。近江谷選手はバンクーバー五輪に出場、吉村選手は世界ジュニア選手権3位の実力者。2018年の平昌(ピョンチャン)五輪を見据えた大型補強だ。
ベテランのスキップ小笠原歩選手(36)は、新メンバーの加入で、「いつでも(速いストーンを投げる)アップウェートができるチームになり、大差で負けることが少なくなった」と話す。
ストーンにスピードがあることで、ハウスにストーンを止める「ドロー」だけでなく、相手のストーンをはじき出す「テイクアウト」や、相手のストーンをはじき出して投げたストーンを目的の場所で止める「ヒットアンドロール」など、戦術が広がったという。
近江谷選手は「今季の目標としてきた大会。今までの成果を出し切りたい」、吉村選手も「初の世界選手権で一つでも多く勝ちたい」と今大会に臨んだ。
2人は大舞台にも落ち着いてプレーし、随所で好ショットを披露。ショットの成功率は、近江谷選手が96%、吉村選手が78%で、カナダのリード、サードより、それぞれ13ポイント、2ポイント高かった。
小笠原選手は、自らのミスで敗れたと認め、次戦に向けて気を引き締めた。一方で、若い選手について、「(2月の)日本選手権後にいい調子のまま今大会に入れている。日本代表として成長した姿を皆さんに見せられたと思う」と話し、活躍に期待した。
雪も降っていないのに、樹木が真っ白になった不思議な光景が、県立明石公園(明石市)で頻繁にみられるようになった。内堀に茂った広葉樹林をカワウの群れが夜間「ねぐら」にしているとみられ、枝葉がそのフンで白く汚れるためだ。野鳥の専門家は「カワウが市街地をねぐらにするのは珍しい」とするが、公園の管理者は「観光名所だけに景観が悪化しないかが心配だ」とやきもきしている。(望月弘行)
バサ、バサ、バサッ……。夕暮れ時、黒い羽を広げたカワウがどこからともなく現れ、樹木に次々と降り立つ。羽を休めながら、低く鈍い鳴き声をとどろかせる。
公園を管理する県園芸・公園協会などによると、カワウが集団で現れるようになったのは2013年12月頃。正面入り口から西約100メートルの内堀土手にあるウバメガシなど十数本を「ねぐら」にするようになった。春には繁殖地へ飛び立ったが、昨年末には再び舞い戻ってきた。今年2月頃からは、葉や枝にこびりついた白いフンの汚れが目立つようになったという。
カワウは通常、水辺に近く、人けの少ない山林をねぐらや繁殖地にするといわれ、伊丹市の昆陽池や滋賀県の琵琶湖では樹木の枯死などの被害が深刻化。各地の河川でも放流アユの稚魚が捕食されるなどの被害が相次いでおり、全国で毎年約1万~3万羽が有害鳥獣として駆除されている。
JR明石駅前にある明石公園の周辺は住宅街で人通りも比較的多い。日本野鳥の会ひょうごの奥野俊博幹事は「周辺を車や人が頻繁に往来する市街地がカワウのねぐらになるのは珍しい」と話す。
県園芸・公園協会明石公園管理課の大豊雅宏課長は「今のところ木が枯れたり、人的被害を招いたりする心配はなさそうなので、しばらくは見守るしかない」と様子をみている。
4月になれば、繁殖地へ移動すると推測されるが、カワウの生態に詳しい滋賀県立琵琶湖博物館の亀田佳代子・総括学芸員は「巣作りを始めていないか注意する必要がある。繁殖地になれば、集団が大きくなったりして被害が拡大するかもしれない。樹木が枯れたり、フンによる富栄養化で水辺の水質が悪化したりする恐れもある。早めに方針を決めて対策を検討したほうがいい」と指摘する。
2016年春に卒業予定の大学生を対象にした合同企業説明会が14日、津市の三重大学で始まった。経団連が定めた「採用選考に関する指針」で、会社説明会の解禁が3か月繰り下げられ、就職活動は短期決戦となる。景気回復の動きが見られる中、優秀な学生を確保したい企業の意欲は強く、学生と企業の双方から戸惑いの声が上がった。(吉富萌子)
同大では指針を踏まえ、これまで12月に開いていた企業説明会を3月に変更。18日までの5日間で県内外の企業計540社が参加する。14日は午前と午後の部に、リクルートスーツに身を包んだ学生計約1000人が集まり、各企業のブースで担当者の説明に耳を傾けた。
津市の三重交通はブース内に10個の椅子を用意したが、開会後すぐに席はなくなり、立ったまま説明を聞く学生も。20人前後の採用を予定しているといい、担当者は「学生に興味を持ってもらおうと採用情報の広報を強化しているが、他社の動向が気になる」と話す。四日市市の食品メーカー太陽化学の担当者は「3か月遅らせることに、企業も学生もメリットを感じていないのではないか」と疑問を投げかけた。
学生の思いも複雑だ。秋の公務員試験も考えているという人文学部3年の田名瀬絢香さん(21)は、「企業の選考と試験勉強の時間が重なるので厳しい。変更されたばかりで焦りだけがある」と戸惑う。工学研究科1年の前嶋悠佑さん(23)は「企業も学生も手探り状態で、実際に採用活動全体がどう進むか分からない。早く内定をとって、研究に集中したい」と打ち明けた。
同大就職支援チームの河村俊男さんは「解禁繰り下げにより、自己分析や企業研究などにじっくり取り組むことができる」とする一方で、「公務員や教員の採用試験との併願が難しくなる。企業の選考日程に関する情報が交錯し、混乱も懸念される」と話していた。